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第27話

 リザードマンは二足歩行するトカゲというイメージ通りのモンスターだ。

 皮膚は固く、それでいて柔軟な性質を併せ持つ。寒さに弱い。

 人間のような四肢を持つことで細かい動作も難なくこなすことができる。

 そのため、人間の武器を奪って使うこともある。そしてそれを真似た武器を自分で作り出すくらいには

 知性を持っている。

 生まれ持った腕力や体力を考えれば、そこらの冒険者に身体能力で後れを取ることはないだろう。

 だが、実際はEランク止まりの弱いモンスター認定されている。



『グガアア!!!!!』



 外敵から子供を守ろうとする母親のように力強い咆哮が静かな森に響いた。

 テリトリーに入った者は構わず敵認定されるのだろう。



『ガア!』



 走ってきた勢いに加えて、長い腕が遠心力いっぱいに振り下ろされる。

 その力をまともに受ければ今の俺ではこらえ切れず吹き飛ばされてしまう可能性が高いと判断した俺は、回避を選択する。



「ふっ!」

『ギギッ!?』



 俺は相手のリザードマンの懐に向かって飛び込み、攻撃を回避する。

 それと同時に腰から剣を抜き、薙ぎ払い攻撃を仕掛けるが、軽く避けられてしまった。

 流石の身体能力だ。俺が逆の立場だったらまず避けられなかっただろう。



「ふう・・・。スキルを温存して倒せるようにならないと。」



 今、俺はスキルを使用せずに戦っている。

 十八番とも言える加速Ⅱ(アクセル)は身体の負担が大きいため、長期の戦いに向いていないからだ。

 それに、テクニックが無ければスキルの効果も最大限に発揮できないだろうという考えもあった。


 冒険者になって数日の俺でもスキル無しで戦えるのは、リザードマンの攻撃が単調だからだ。

 そう。これがEランクに認定されている理由。

 動きが読みやすい。これに尽きる。

 フェイントを掛けてくることもなく、得物で斬る・噛み付く。これだけだ。

 戦士としては正々堂々というやつなのだろうけど、姑息さが足りない。

 戦う側としては助かるが。



「クロノさーん!援護必要ですか!?」



 少し遠くで戦闘の行方を見守っていたサーシャから声が掛かる。

 その手にはお気に入りのホワちゃん(いつの間にか命名されていた)が握られており、明らかに使いたくてたまらなそうだ。いつからそんなたくましくなったのだろうか。



「大丈夫!周囲を警戒してくれるか!?」

「わっかりましたー!」



 まあ探知(エリアサークル)があるから警戒は殆ど必要ないんだけどね・・・。

 俺は気を取り直して目の前のリザードマンに対峙する。

 攻撃を簡単に避けられた上、こちらが全くの平常心であることに焦りを感じているのか、荒い息遣いが聞こえる。



「今度はこちらから行くぞ!」

「はああああ!!!」


 俺は思いっきり剣を振りかざす。

 縦斬り攻撃が来ると予想したリザードマンは向かって左に避けようとする。 

 しかし、これはフェイントだ。



「ウラああ!」

 『ギガッ!』



 剣を振りかざしたまま放った右蹴りがリザードマンの脚にクリーンヒットした。

 脚を取られたモンスターはバランスを崩して動きが止まる。


 (今!!)


 俺はすかさず鱗に覆われた脇腹に剣を突き刺した。

 固い皮膚を突き抜けると、ズブリとした感触が手を包み込んでいく。

 同時にドス黒い液体が黒い剣を染めていく。



 『ギ・・・ギッ』

「はああああっ!」


 ザシュッ!! 


 勢いよく剣を引き抜き、瀕死のリザードマンの首目掛けて剣を振り下ろす。

 そして難なく剣は目的の物を両断することに成功する。



「ふうー。終わったな。」

「お疲れ様でした!クロノさん、足を使ってましたね。」

「ああ、上手くいってよかったよ。それに、魔石を絶対に傷つけていけないって思うと緊張した~」



 俺はアイテムボックスから水筒を取り出し、呷る。

 魔の森に来る時にアイテムボックスの性能を確かめているときに見つけたものだ。

 得体の知れない液体と最初は思ったが、恐らくマチルダが気を利かせて入れてくれたのだろう。

 そういうところに男気を発揮しやがって。



「サーシャもどうぞ。飲みかけだけど。」

「え?あ、はい・・・。」



(まあキスはしたんだし、これくらい緊張してどうするのよ、私)


 サーシャはゆっくりと水筒に口を近づける。

 そんなことを思っているとは知らない俺は、リザードマンの解体を行う。


 以前、サーシャに教えてもらったことを実践しながら行っていく。



「まずは魔石だな。よっと」



 リザードマンの胸から魔石を取り出す。

 淡い紫色の光を放っている。

 スキルで確認したが、間違いなく魔力が詰まっているようだ。

 それをスキルでしっかり監視しながら解体を進めていった。

 が、途中から入ってきたサーシャに最後の方はお任せだった。



「うん。やっぱり変化はない・・・か。」

「そうですね。クロノさんもかなり余裕があるように見えました。つまり、これは例のリザードマンではないってことですね。」



 スキルで見ても魔石に備わっている魔力の量に変化は見受けられない。別に強くも無かったと思うし、サーシャの言うように普通の個体と言うことなのだろう。


 

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