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ある熟年夫婦の場合  作者: つよきち
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気になる存在

いつからだろうか。

たぶん誠一は祥子にいい顔をしていたのだと思う。

祥子の前ではかっこいい自分のままでいたかった。

祥子は口下手な誠一を良いように持ち上げてくれた。

どんどん上がっていく祥子の期待が怖かった。

でもその期待を裏切りたくなかった。

というよりも誠一は誰かの何者かになりたかった。

祥子と出会ったことで誠一はその何者かになれたような気分になっていた。

でも本当はただの誠一のままだった。

ただの口下手で面倒臭がりで、特段抜きん出た才能があるわけでもない。

そう、当たり障りのないただの男だ。

でも何者かになりたかった。

誰でもない祥子の前でだけは。


祥子は必要以上に答えてくれない。

誠一も必要以上に聞くことはしない。

それはいつも通りと言えばそうだった。

何も変わらない二人の仲だった。

でも誠一はその関係はもう終わりだと思った。


「何で今日ここに来たんだ?」


祥子はとくに悪びれるわけでもなくその質問に答えた。


「幸恵に頼まれたのよ」


「どういうことだ?」


「人に会ってほしいって」


「誰を待っていたんだ?」


「あなたじゃないの?」


誠一はサチが祥子ではないことは確信した。

でも誠一は分からなかった。

祥子はサチとハジメのやり取りは知っているのだろうか。


「あなたは何で今日来たの?」


誠一は何をどう説明すればいいか分からなかった。


「そういうところ」


祥子は怒っているようだった。

何をどう理解すればいいのだろうか。


「幸恵はあなたが浮気をしていることを疑っている。自分の旦那がそうだったから」


「そんなわけないだろう!」


誠一は思わず大きな声を出してしまった。


「じゃあ、なんで今日来たの?」


「違う!」


誠一は怒っていた。

腹が立って冷静に物事を考えられなくなっていた。

幸恵がサチで誠一を騙したというのか。

いったい何のために?


「幸恵は私に怒っていたから」


祥子はそれ以上何も言えないようだった。

幸恵がサチだとしたら、横山は何なんだ?

その時、誠一は横山の存在が気になり始めていた。

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