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ある熟年夫婦の場合  作者: つよきち
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私のせい

「知っているんでしょう?」


祥子は誠一にそう言葉を返したのだった。

誠一は、サチのことだと思った。

祥子がサチとしてブログをしていたことか、それとも誰かと待ち合わせをしていたということか、いずれにしてもサチに関連したことを聞かれているのだと思った。

誠一は祥子がどこまでのことを誠一が知っていると思っているか分からなかったが言葉を返した。


「ああ」


祥子はそれきりそのことに関してはそれ以上話そうとしなかった。

時間がお昼時だったため、ランチを一緒に食べることにした。

その本屋は地下にレストランを構えていたため、そこで食事をした。

バイキング形式で、内容はとてもヘルシーでおしゃれだった。

さすが表参道だと誠一が感心していると、祥子が誠一の分も唐揚げを多めに持ってきてくれた。

誠一は唐揚げが好きだった。

唐揚げのほかは、和惣菜やサラダで、ある意味、唐揚げだけ浮いていた。

でもこんなおしゃれなカフェでも誠一のような客が来ることを想定してくれていたのかもしれない。

誠一は勝手にそう思っていた。

祥子は唐揚げばかり食べる誠一の皿にほうれん草の和え物ものせた。

誠一は黙って、そのほうれん草の和え物も食べた。


1階が絵本のエリアだった。

他、2階は木のおもちゃを扱っており、3階はどうやら女性向けのものを揃えているようだった。

誠一は祥子と1階からまわっていった。

誠一は自然と幸恵のことを思い出した。

きっと祥子もそうだったんじゃないだろうか。

とくに2階の木のおもちゃのエリアでは、幸恵が昔よく気に入って遊んでいたビー玉を転がすおもちゃがあった。

祥子はそのおもちゃの前で立ち止まり、しばらく眺めていたのだった。


「私、幸恵の話ちゃんと聞いてやれなかった。本当はどう思っていたんだろう」


誠一は祥子が何のことを言っているか分からなかった。

でも悩んでいることは分かった。

きっとぜんぜん大丈夫ではないんだろう。

最近、祥子はあまりよく眠れていないのではないか。

誠一はそう祥子のことを想った。

誠一と祥子は交わす言葉が少なすぎるのかもしれない。

でもそれが二人らしさであり、二人の心地だった。

それがもし誠一の全くの勘違いだとしたら、誠一はいったいこれから何を信じればいいのだろうか。


「幸恵が離婚したいだなんていうのはきっと私のせい」


誠一は何て言葉を返せばいいか分からなかった。

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