直感
とはいえ誠一は横山が言うことが信じられなかった。
サチに連絡をしてみようと思った。
ただもしそれが祥子だとしたら、二人だけにしか分からない質問をした場合、それが誠一だとばれてしまう。
だから誠一は思い切ったことを考えていた。
「もしよければ会いませんか?」
この質問だと唐突過ぎるかもしれない。
あれから連絡のやりとりを一度もしていないのだ。
どうすれば不審がられずに質問できるのだろうか。
誠一は考えた。
「他にもおすすめなカフェはありますか?」
これで行こう。
ある意味掛けではあった。
確実な方法ではない。
でもそれくらい遠回しに聞くしか可能性はないと思った。
数日後、連絡が返ってきた。
「神保町に絵本専門の本屋があるんですが、そこは好きです。本屋の中に小さいカフェがあります」
誠一は賭けた。
「実はそこに一度行ってみたいと思っていました。そこには今度いつ行く予定ですか? もしご一緒できたら嬉しいです」
これは祥子に対する裏切りになるのだろうか。
誠一はメールを送る時に躊躇った。
でもその気持ちに祥子のためだと弁解した。
誠一の葛藤とは別に、サチからは意外とあっさり連絡が返ってきた。
「ハジメさんのご都合はいかがですか?」
サチと会うのは週末に決まった。
一応、横山にも連絡をし、サチが祥子だった時のために横山にも来てもらうことにした。
待ち合わせ場所には横山にいてもらい、誠一は別の場所で隠れていた。
誠一の不安は的中した。
そこに来たのは祥子だった。
ただ祥子一人ではなく、幸恵も一緒に来ていた。
どういうことだ。
サチがやはり祥子だったというのか?
それともサチは幸恵か?
店内が狭いため、誠一が店に入るとばれてしまうのは明らかだった。
仕方なしに、誠一は横山に終わったら連絡をもらうようにメールを打った。
「サチは祥子さんだった」
それから横山から言われた言葉は意外な言葉だった。
実際祥子が来るのを目撃したのにも関わらず、誠一はまだ横山の言葉を信じられなかった。
何かの間違いだ。
それは誠一の直感がそう言っていた。




