お医者様
明日香の身の上の設定、ありがちなことには意味がある(笑)
前話の、最後の会話あたりを少し編集しました。
小説の流れに変化は、ありません。
テレパスに関しても、「間一髪」の部分にて、加筆修正しています。
「」は、普通の会話。『』は、テレパシーになります。
よろしくお願いします。
ファルからの情報の一つで、医者の数は多くない上、
保険制度などまだ整備されてはいないと聞いている。
なので、庶民は簡単に医者にかかることは難しいので
気を付けるように言われていたからだ。
驚きを隠せないまま、美代さんに尋ねてみた。
「あの、お医者様は貴重な存在でなかなか呼べないと聞いていたのですが。」
「明日香さんは、他領の方なのね?」
出身地などについては必ず聞かれることは想定していたので、
あらかじめファルと相談して鵲領周辺、
日本での九州地方を探すときは、
山口県付近の吉敷領を出身地にすることにした。
身の上についても決めてある。
道場を開いている父がおり、母はすでに他界している。
旅をしている理由については、叔父夫婦の娘からの便りが途絶えたので、
尋ねていって欲しいと頼まれたが、
尋ねてみるとすでに引っ越しをした後だったので、
人づてにこのあたりに来たらしいことを聞き、
父と叔父夫婦の了承の元捜しに来ているという設定だ。
ありがちな設定だけど、それだけ珍しくないと言えるだろうし
受け入れてもらいやすいのではないかと思う。
「はい。吉敷領になります。」
「まぁ、そんな遠いところから。なら、このあたりの事情には疎いわねぇ。」
そこへ、バタバタと走ってくる音がしてきた。
「明日香お姉ちゃん!目が覚めたんだ。良かった。」
バッと勢いよく障子をあけて虎君が飛び込んできた。
「虎、廊下を走ってはいけませんよ。それに女の人の部屋にいきなり入るなんて、
あなたも、虎を止めてくださいな。」
「ごめんなさいね、明日香さん。」と美代さんが軽く頭を下げると、
「ごめんなさい。」「すまない、浅香さん。」と、
虎君と和助さんもそろって頭を下げた。
「あの、気にしないで下さい。こちらこそご迷惑をおかけした上、
お医者様まで呼んでいただいてありがとうございました。」
「いいってことよ。大したことじゃねえから。」
「あなた、明日香さん、吉敷領の出身で、
お医者様を呼んだことに驚いているみたいなの。
説明お願いしていいかしら?私、お茶の用意をしてきますので。」
そう言うと、美代さんは部屋から出て行った
お立ち寄りありがとうございましたm(__)m