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JK風来人はじめました。  作者: 風花猫
鵲(かささぎ)領
6/28

間一髪

叫んでいたのは何かを抱えて子どもでした。

「ナト!」


「明日香!あそこ、子どもだ!」


示されたほうを見れば、何かを抱えた子どもが必死に走っている。


その後ろから来るのは・・・。


いのしし!


まずい!


「ナト!強化お願い。」


「了解!」


「ナト、大きな石か木がない?」


「子どもが走っている先に大きな木がある。」


「わかった!両方傷つかないようにお願い。」


「了解。」


「うわっ!」


ずざざざざぁ、子供が転んで土埃が立つ。


間一髪、転んだ子どもを抱えて回転する。


ドドーン


大きな音がした方を見るとイノシシが木にぶつかってよろよろしている。


『テレパス!ナト。』



テレパスは、ナトとテレパシーで会話するためのパスワードで、


これもナトと契約した際に付属してきた便利な機能だ。



『何?明日香。』


『イノシシと会話できる?』


『できるよ。』


『気絶しないようなら、寝たふりするようにいって。』


『了解。』


「うわぁん。」


「虎!大丈夫か!」


「父ちゃん!」

 

この子の父親か、よかった。


「ケガしてない?」


虎と呼ばれた子どもを立たせ埃をはらう。


腕の中のなにか、


「ウリ坊?!」


「あんたも大丈夫か。虎を助けてくれてありがとよ。」


「私は大丈夫。それよりそのウリ坊は?」


「おっと、虎?」


「父ちゃん、このウリ坊罠にかかってた。」


「罠に、密漁か。」


「罠は外せたけどケガしてたから、ヨモギ探そうとしたら

 あのイノシシと目が合って思わず逃げた・・・。こわかった。」


思い出したのだろう、震えている。

腕の中のウリ坊をみれば、その足に血がにじんでいる。

たぶん、あのイノシシはウリ坊の親なのだろう。


『明日香、ウリ坊の親で間違いないよ。もうすぐイノシシが目を覚ます。』


「とりあえず、よもぎを。あっ!あった。」


向こう(日本)なら、傷用のパットや薬も身近にあるから

ヨモギを使うことはなくなっているけど

昔は止血などに利用されていたからこちらでもそうなのだろう。

縛れそうなつる、よしこれでいいかな。


「その子抑えていてね。まずは、よもぎの汁。

 それからこの葉をつるで巻いてと、よしこれで大丈夫。

 虎君?その子降ろして大丈夫だよ。」


「ありがとう、お姉ちゃん。大丈夫かな?」


「うん、多分その子の親が心配して追いかけてきたんじゃないかな。」


「虎、降ろしてみるといい。」


ゆっくりとウリ坊を降ろすと、少し足を引きずってるようだけど

とてとてと、イノシシの方に進んでいく。

ピギピギとウリ坊がなくと、いのししがゆっくりと起きだしてきた。


『ナト、イノシシは大丈夫?』


『うん、音は派手だったけどエアクッション挟んだから大丈夫。』


『ありがとう。さすがナトだね。』


『もっと褒めていいよ~』


『もう、ナトったら。』


「お姉ちゃん?」


おっといけない。

虎君の方に目をやると心配そうな顔している。


「助けてくれてありがとう。」


「俺からも礼を言うぜ、ありがとよ。俺は虎の父親の和助だ。おめえさんは?」


「私は、明日香といいます。虎君が無事でよかったです。」


「父ちゃん。」


「ん?どうした虎。」


「腹減った。」


ぷっ、どちらからともなく笑い出した。


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