仕掛ける
跡をついてきたのは二人、別々の思惑があるようです。
そして明日香が動きます。
跡をつけられているのは、気付いていた。
何かあるかもしれないと用心していれば、
多少は周りを見ながら歩く。
そんな中、つかず離れず距離を保って
跡をついてくる人がいれば嫌でも気づく。
虎君に広場のなかで、人が多くないところは
ないかと聞いたら、ここがいいと案内してくれたのだ。
『ナト、二人が何しているかわかる?』
『二人とも、倉庫側に移動して別々の場所に隠れた。
ただ明日香、変なんだよ。』
『何が?』
『一人は僕らを気にしているというより、
もう一人を気にしている気がする。』
どういうことだろう?
密猟以外の別の思惑を持つ人間がいるということだろうか。
『帯刀していた?』
『ううん、二人ともしていなかったよ。
一人はずっと懐に手をやっていたから、
合口か何か持っていると思う。』
さてどうしようか。帯刀してないなら、まだ戦いようはある。
よし、せっかくここに着いてきてくれたのだ。
こちらから仕掛けよう。
『ナト、虎君のガードお願い。』
『わかった。』
しゃがんだまま小声で、虎君に話しかける。
今から倉庫が見える方に移動するけど、
走ったりして離れないでほしいとお願いする。
「虎君、お父さんの倉庫が見える方に移動しようか?」
わざと大きい声で虎君を促し、ゆっくり歩き始める。
木刀が抜けなくなるので、手はつながない。
まだ、船は来ないのかと虎君に話を振ると、
「いつも、お昼過ぎに着くんだよ。おっきな音がドーンなって、
船から音楽が聞こえてきてお祭りが始まるんだよ。」
虎君がドーンと言いながら腕を広げた。
そして、人影が動いた。
かかった!
途中下車ありがとうございます。
ブクマ・評価もありがとうございます。
次回すこーし明日香の戦闘?シーンをちょろっと書くつもりですが、
すいません。私、剣道未体験です。
剣道の技で人を殺せるものは少ないと、何かで聞いて調べた程度です。(完全ネット頼り)
剣道経験者の方には、吹き出すような表現が出てくるかもですがお許しください。