市に出かけた先で
すいません。船の付く日を明後日から明日にして2話分ほど編集しました。
「市に出かけた先で」を書いているうちに、明後日ではテンポが悪くなると判断しました。
次の日が、突然船が付く日になっています。<(_ _)>
次の日。
今日は船が付く日だ。
昨日の夕餉と同じように虎君の隣で、朝餉をいただこうとして
和助さんの姿が見えないことに気が付いた。
美代さんに聞くと、仕事に出て行った後だという。
「ねぇ、母ちゃん。今日、明日香姉ちゃんと一緒に
港の屋台に行ってもいい?」
「屋台?」
「あらそうね。今日は市が立つ日なのを、すっかり忘れていたわ。
明日香さんは、昨日来たばかりだから知らないわね。」
何でも、異国の船が来るときは、
市が立ち屋台なども多く出るのでかなり賑わうという。
「ねえ、明日香姉ちゃん行こう?母ちゃん、いいだろ?」
そうねぇ、どうしようかしらと美代さんは迷っていたが、
お願いしていいかしらといわれたので、頷くと
虎君に、くれぐれも私のそばを離れない事、
お昼を食べたら帰ってくる事、
それが守れるなら行ってもいいと言ってくれた。
朝餉を食べ終え、はしゃぐ虎君に引っ張られるように
港の方へ行くと、確かにたくさんの店が出ていて賑わっている。
お客とのやり取りも盛んなようで、
あちらこちらで値切る声も聞こえてくる。
炭火で焼いているのだろう、
煙に混じって香ばしい匂いも漂ってくる。
ナトが鼻をひくひくさせて、
落ち着きがなくなっているのが微笑ましい。
「明日香姉ちゃん、まずはあそこに行こう。
この広場が一望できる場所があるんだ。」
虎君が走り出しそうなのを引き留めながら
後をついていく。
階段を上がって行くと、
展望台のようになっている場所にでた。
『テレパス、ナト。つけられてる?』
『二人、跡をついてきてるね。』
「明日香姉ちゃん、こっち、こっち。
ここからだとよく見えるんだ。ほらっ。」
虎君の指さす先を見ると、
広場いっぱいに色とりどりの布が広げられていて、
花畑のようにきれいだった。
「すごいでしょ。ここ大好きなんだ。
それと、反対側に行くと父ちゃんたちのいる
倉庫が見えるんだよ。」
私は、「きれいだね。」そう言いながら、
虎君の目線に並ぶようにしゃがむと
「離れないでね。」と、虎君に耳打ちした。
途中下車ありがとうございます。
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