夕餉(ゆうげ)の時間
嵐の前の静けさ?
俺からもお願いしたい、と和助さんも頭を下げた。
「あの、頭を上げてください。どこまでお役に立てるかわかりませんが、
虎君の為にもお手伝いさせてください。」
そう告げると、二人そろって「ありがとよ。」と頭を上げた。
思わずそろってしまった声に、笑いが漏れ緊張していた空気が和らぐのを感じる。
いつの間にか日が落ち始めたようで、障子が夕焼け色に染まっている。
「ずいぶん、時間が経っちまったようだ。」
和助さんはそういうと、そろそろ夕餉の準備ができている頃合いだが、
動けるかい?といいながら念の為だと言い
女中を呼んで手を貸すようにと命じてくれた。
夕餉が整えられた部屋に行くと、虎君が嬉しそうに
隣に座るよう勧めてくれる。
そしてナト用なのか、おままごとのような小さな器に
卵焼き付きでご飯が用意されていた。
ナト良かったね、そう呟いて夕餉をごちそうになった。
和やかなまま夕餉が終わり、
明日はよろしく頼むと、金治さんがそう告げて帰路に就いた。
虎君は昼間の疲れが出たのか、ご飯の後に一緒に遊ぶとはしゃいでいたが
いまは、うつらうつら舟をこいでいる。
美代さんが、仕方ないわね~と言いながら部屋へ連れて行った。
和助さんは、数人の若い衆に昼間の事を話し、私の事を紹介し
明日の作業は、十分に気を付けるようにいい話を終えた。
そして、私に向き合うと明日はよろしく頼むと頭を下げた。
静かな物言いに、かすかな緊張が感じられて
身が引き締まる思いがした。
途中下車ありがとうございます。
昨日の昼間、唐突に思い浮かんだフレーズについつい力が入り、短編を書いてしまいました。
「母は、強し。最強なのは、勇者でも魔王でもなく母ちゃんでした。」
https://ncode.syosetu.com/n6424fl/
母の日が近いということで、書きましたがウルウルしません(笑)
遊びすぎかもですが、こんな母ちゃんいるよねと軽~く読んでいただければ
嬉しいです。