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魔王見習い  作者: 一葉
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魔剣バジリスク

種明かしをしてしまえば単純なことだ。天火は魔力を流すだけで魔剣になる。そして魔力の流し方で性質を変化させるのだ。試行錯誤のすえ、今は魔剣を一つだけ使える。


《魔剣バジリスク》

猛毒の魔剣。切った相手を毒状態にする。この効果は防御をある程度貫通する。


この防御というのは鎧や剣のことで魔法防御までは貫通出来ない。だからこそシルヴィアはアスガルドに魔法を使用させなかったのだ。さらに移動範囲を限定することで避けられないようにした。

はっきりいって卑怯以外の何物でもない戦いである。シンラは後味の悪さを噛み締めた。アスガルドは膝をつき、シルヴィアに回復魔法をかけてもらっている。

「ご主人様の勝ちですね。ちゃんと教えてあげて下さいね?」

珍しくシルヴィアは上機嫌だ。たいするアスガルドは肩を落として意気消沈していた。

「すみません、卑怯なやりかたでした」

シンラはいさぎよく頭を下げる。

「敗者に謝罪するのは侮辱だ」

アスガルドは立ち上がると覚束ない足取りながらも立ち去っていく。

「明日から訓練お願いしますね。それと私は出掛けますので留守番お願いします」

シルヴィアは容赦なかった。

「よかったのかな」

「いいんですよ。アスガルドは気をゆるめすぎです」

そうだろうか。たしかにシルヴィアの提案をホイホイ受け入れるのはどうかと思う。けれど僕程度なら軽くあしらえるのも事実だ。

「そういえば、アスガルドは鑑定魔法を使えないの?」

天火の色が変わるというわかり安い変化にたいして鑑定魔法を使わないのは違和感がある。

「鑑定魔法は人族だけが使える魔法です。それに鑑定魔法は隠蔽魔法を突破出来ません。天火にも隠蔽魔法がかかっていますから鑑定魔法を使ってもバジリスクの効果はわかりませんよ」

となるとやはり例の全てを飲み込む云々は秘密にしておこう。シルヴィアやアスガルドがこのあちこちふれまわるとは思わないが何処に人の耳があるかなどわからない。ふとした瞬間に聞かれてしまう可能性は常にある。情報は知っている人が少ないほど秘匿性が高いのだ。

「それより何か入り用のものはありませんか? 明日買ってきますよ」

「とくにはないよ」

衣食住を提供してもらっているのだ。これ以上、必要な物はない。

「そうですか。ご主人様は無欲なかたですね」

決して無欲とは言えないと思う。だがわざわざ否定するのも何か違う。シンラは曖昧な笑顔で誤魔化した。

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