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魔王見習い  作者: 一葉
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少しばかりはりきり過ぎたかもしれない。夕食を終えるとベッドに倒れこむ。全身の筋肉が痺れてきしきしと痛む。シルヴィアから型を教わってひたすら素振りをしただけでこれだ。刀が思ったより重かったのもあるが軟弱すぎる。

汗まりで気持ち悪く、シルヴィアにお風呂はないか聞いてみたらなにやら天啓をえたといった顔付きですぐ用意すると言ってくれたが若干嫌な予感がする。

お風呂が出来るまでしばらくかかるだろうから、やるべきことはやっておこう。

鉛のように重い身体を動かす気にはなれず、頭だけを動かして刀を視界に入れた。鑑定眼を発動すると文字が浮かび上がる。


《天火》

ヒヒイロカネで作られた刀。折れず、曲がらず、欠けず、メンテナンスの必要もない。

魔力との親和性が高く、魔力を流すだけで魔剣になる。

ただの人間が執念で作りあげた人造神剣。


これ本当にもらってよかったんだろうか。ヒヒイロカネは加工出来ない金属。その金属で作られた武器の価値はとんでもないことになるだろう。さらに人造神剣とか最早わけがわからない。人造神剣があるのなら神剣もあるのだろうか。シルヴィアに聞けばわかりそうだけど。いや、神関連のことを聞かれるのは元神としてつらいかもしれない。

考えを保留にして自分に鑑定眼を発動。


《天野真羅》


種族・人間

称号・魔王見習

スキル・剣術 鑑定眼 ?の魔眼

異界より召喚された少年。その左目の魔眼はいずれ万里を見とおし、全てを飲み込むだろう。


なんだこれは。魔王見習はまだいい。?の魔眼というのもようは鑑定眼のレベルが足りていないのだろう。それよりも説明文にある全てを飲み込むとはどういう意味か。シルヴィアに相談すべきだろうか。どうせ鑑定魔法を使えば知られる内容である、秘密にする意味もない。

気を取り直して鑑定眼で見える内容自体を鑑定していく。種族と称号はそのままの内容だった。剣術もそのまま、ついで鑑定眼を鑑定。


《鑑定眼》

全てを見通す魔眼。あらゆる隠蔽手段を貫通する。成長度合によって見えるものは増えていく。この魔眼が人間種以外に発現した場合、能力は使用出来ない。


隠蔽手段を貫通するということは隠蔽手段があるということか。鑑定魔法はありふれた魔法だと聞いているから対抗手段があってあたりまえだ。気になるのは人間以外では発動しないという部分。もしかしたら鑑定魔法自体が人間にだけ使える魔法である可能性がある。その場合、自分を鑑定した内容は秘密にした方がいいかもしれない。シルヴィアを信用していないわけではないが、情報というのは何処からもれるかわからない。いずれ全てを飲み込むなんて明らかに危険な人物だ。警察とか国家などに知られたらどうなることか。うん、秘密にしておこう。さて最後に?の魔眼とやらを鑑定しておこう。

ぎしりと頭のなかで何かがきしんだ。

突然の激痛に耐えられず、シンラはあっさりと意識を失った。


人間と一緒に住んだことはありませんのでお風呂という発想がありませんでした。メイドとしては不覚です。お風呂でご主人様にご奉仕するのはメイドの最も重要な仕事ではないですか。ええ、別にお風呂でご主人様といちゃつくとかなんて素晴らしいシュチエーションとか考えてませんよ? あわよくばとか期待してませんよ? あくまで仕事としてやるだけです。やるとなったらお風呂の準備をしないといけません。色々するなら使用人用のちっちゃい湯船では狭すぎます。王族が使っていた広いお風呂を用意すべきでしょう。

使っていないと言っても掃除はしてあります。問題は広過ぎてお湯をはるのに時間がかかることです。元々は水道が設置されていましたがとうの昔に壊れています。なので魔法に頼るしかありません。最下級魔法水球で水を作り、湯船に水をはってから最下級魔法火炎で慎重に温めます。

ずいぶんと時間がかかってしまいました。さっそくご主人様をお呼びしてあれやこれややっちゃいましょう。

あれ? ご主人様寝ちゃってますね。うーん、お疲れでしたからしかたありませんね。取り敢えずきちんとシーツをかぶせておきましょう。ついでに一緒に寝てしまいましょう。添い寝して貰う約束ですからね。

これ結構いいですね。誰かに抱きついて寝るのって落ち着きます。ちょっと汗臭いですけど嫌な臭いじゃないです。それにご主人様の魔力が少しだけ流れ込んできてちょっとだけ気持ちいいです。いやいや違う違う、気持ちいいとかじゃなくてこれはあくまで、そう、メイドのお仕事です。ご主人様に快適に就寝していただくための手段です。決してもっとひっつきたくて足も絡めているわけではありません。頭をすり付けたりとか服をぎゅっと握るのだってあくまで仕事としてやっているのです。欲望を満たすためにやっているわけではありません。神にしろ妖精にしろ眠ったりはしないのですがご主人様のためなら一晩中こうして暖めてあげましょう。

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