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11 領主デルフの森に

 エドワードが50人ほどの「デルフの森開発調査隊」を連れてやってきたのは、ミノルが戻ってきてから5日後のことだった。

 土木建築系のギルド、薬師、冒険者、商業系、開発が始まれば関わるだろうギルドの面々があちらこちらを調査し、測量している。数日野営して、データを持ち帰るのだそうだ。

 コイルの家にも何度も人が来ては見学していった。



 この数日でコイルの家は、露天風呂と、キッチンとトイレに屋根がついた。トイレは個室になり、風呂の目隠しは外からは殆ど見えないよう木や石を配置した庭園風だ。

 家も順調に仕上がりつつあり、一度買い出しに行ったコイルは、念願の野菜の種を畑に蒔いた。水をやりながら「早く芽を出せ~」と不思議な踊りを踊るのが今のブームだ。


 ダンジョンは相変わらず順調だったが、第4層に来る冒険者が多すぎるので、やはり第3層で少しふるいに掛けようとミノルにも相談している。魔蛇達には、第4層を手伝ってもらいながらストレス解消させてどうにか持たせている現状だ。


 第3層の改変には、一度コイルもダンジョンの様子を見に行きたいということで、目が覚めている時間帯はミノルが鑑定しながら、コイルのギフトの範囲を小さくする努力中だ。

 今は集中すれば半径5メル以下に抑えられるようになったので、一度だけ中型魔獣の青狸が敷地の傍に寄ってきたこともある。

 魔物が近寄ってきて、歓声を上げるのもどうかとは思うが、青狸はミノルが仕留めて、小さな魔石に変わった。




「コイルくん、ちょっと見ないうちに逞しくなったんじゃないか?」


 コイルの庭ではエドワードと美人秘書、コイルとミノルの4人がお茶を飲んでいる。

 外のバーベキューテラスも、椅子は丸太のままだが、コイルとミノルが作ったテーブルが置かれ、今までよりは上品に過ごしていると言えよう。

 美人秘書は最初、頑として座ろうとしなかったのだが、エドワードとコイルが強引に座らせた。この二人、なかなかのチームワークだ。


「あ、そうですか?えへへ。畑仕事、頑張っているんです」


「そうだな、毎日の水やりで30分も奇妙な踊りを踊ってるが、あれは良い運動になりそうだ」


「ほう」


「ミノルさん!あれは奇妙な踊りじゃなくてー」


「それにしても、本当に矢羽は居なくなったのですね」


 秘書さんが辺りを見まわしながら言った。秘書さんはスリムで背が高い20代のキリッとした美人さんだ。名前はナギサ、独身で今は彼氏募集中らしい。


「僕が来たときは、もう居なかったです。ラッキーでした」


「で、あれがコイルの露天風呂か!」


「そう!あ、ミノルさんが組み立ててくれたんだけど、周りの目隠しは僕も一緒に頑張ったんだ。今日の夜は、エドワード様も入ります?」


「そうだな。視察の一環として、入れてもらおうか。はっはっは。そうそう、コイルくん、隠れ家の話だが、きみの……」


「エドワード様」


 ナギサの低い声エドワードとコイルの背筋が伸びる。


「先に必要な話を済ませてから雑談しましょう」


「だがナギサ君、きみ必要な話が終わったらすぐに次の仕事入れてくるだろう」

 というエドワードのセリフにも、すでに必要なことは言い終えたとばかりに、ナギサはじっとエドワードの目を見ている。


「……コイルくん、あっちのダンジョン側の土地のことだがね」


 ……

 お茶を飲み終わるまでに、無事仕事の話は済んだことをお伝えしておこう。



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