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28 かまどができた

 翌日は敷地内の草を刈ったり、伐採用(とコイルが決めた)デルフの木から木材を適当に切り出して運んだりして、気の向くままにのんびり作業して、夕方には岡山村に買い出しに行くことにした。





 ミノルはふらっと消えては、ネズミの大きいのを捕まえて捌いていたり、食べられそうな木の実を枝ごとバッサリ切って持ってきたりして、こちらも何だか、普通に自由にのびのびと過ごしていた。


 コイルが「ひゃっはー」と一人で騒ぎながら草を刈っているうちに、気が付くと小川の辺、風呂場の横に、石を積み上げた簡易のかまどが出来ていた。


「わあ!かまどだ!」


 簡単な作りだが、コイルが作るよりは絶対にしっかりと実用的に出来ている。

 ちぇっ。これだからイケメンは!

 一瞬喜んで、それから少し拗ねて、そしてかまどに乗せた鉄板の上の肉に再度歓声を上げるコイルだった。


「これは昨日のウサギだ。ネズミは後で塩茹してから燻製にしようと思う」


「うまそー。ミノルさんは、何でもできるなあ。僕一人だったらこんな贅沢、当分先だったよ」


 結局素直にミノルに感謝していた。

 そして、「野菜も食べなきゃね」と、謎草を鉄板に乗せてもいたが。


「まあ、年の功だな。騎士にとっては野営は基本技能だ。……が草をこんなに食べたのは初めてだ」


「そう?この草、食べられる野草図鑑に載ってたよ。「見つけたら、絶対食おう、ラッキーだ」って」


「食べられる野草図鑑」は「素人にも見分けられる!初心者用薬草図鑑」と共にコイルの愛読書だ。野草の挿絵と名前、特徴が書かれている。欄外に、全然面白くない下手な俳句っぽいものが載っていたり、草をかじってオロオロオロとリバースしている棒人間のイラストが載ってたりする。


 コイルに渡されてパラパラと本をめくっていたミノルは、意外と面白かったらしく、昼ご飯を食べながらずっと読んでいた。


 午後もそれぞれ好きに過ごして、3時には一緒に岡山村へ出発した。

「ミノルさんは岡山村に着いたらどうするの?」


「ああ、エドワード様には、ダンジョンで手伝いが要らないようなら、ここの視察までずっとコイルの護衛をするように言われている。このままコイルについて行って、またこちらに一緒に帰ろうと思うが」


「わかった。夜は?僕は南町のオートキャンプに泊まるけど、ミノルさんは家があるんだよね?」


「ああ。騎士の宿舎がある。明日の朝オートキャンプの前で待ち合わせて、買い物も手伝おう」


「ありがとう」


 通りすがりに野営している本部の人達にあいさつしてから岡山村へ行った。



 岡山村には夕方まだ早い時間に着いたので、買い物を半分済ませ、今まで入った事がない食堂にミノルに連れて行ってもらった。


「あ、美味しいね!」


 蛸飯の店だった。海はあまり遠出すると魔物に襲われるのだが、この辺りは陸からでもよく魚が釣れる。蛸も海岸近くに罠を仕掛けておけば簡単に捕れる。蛸はこの街の名物のひとつだ。

 海の魔物は戦うには足場が悪いので漁師は危険な職業だが、船に釣り上げてから仕留めれば、陸の魔物とは違った高価な魔石になるので、人気のある職業でもある。


「そうだろう。ここの蛸飯は南町じゃあ一番うまいと思うぞ。

 そういえば結構豪快に買い物していたが、予算は大丈夫なのか?」


「あ、うん。まだ余裕。でも家を人に頼んだら、城壁の外だから、結構お金かかるかな?早めにちゃんと家に住みたいから、明日は大工さんを探してみようかな?」


「ああ、家を建てるくらい金があるんだな。コイルが自分で建てるよりは安心だろう。大工はいい人がいないか、宿舎で聞いてみよう」


 美味しいご飯を食べてご機嫌なコイル。

 宿の前でミノルに手を振って別れた。


 さて、魔蛇のステージはどうしようかな。



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