眠りと代償
「…というわけで、今のこの世界が形作られ、もう何百年年もの間平和が維持されているのです…六宮!」
「フォイ!?」
「お前はまだ寝るつもりか?たいそうなご身分だな!」
「…?」
またやっちまった…
確か朝の読書タイムを終えて、ホームルームをして、席について教科書出して…
「…からの記憶がねえ」
教室中がクスクスと笑っている。まあいつものことなので慣れっこなのだが。
「あとで職員室来なさい。もう甘ったれた罰にはしないからな!覚悟しろよ!…では授業続けます。六宮この(6)解いてみろ」
「わからんす」
「お前はほんとに…頭がいたいよ。第一、この一高は皆が志の高い学生が集まる場所だ!なのにお前の成績は目が当てられん。それだけならまだしもお前は努力してそれを変えようとする心意気が見られん!ほんとに来年は留年になるぞ!」
「すんません」
「じゃあ続きだ。答えは第二次魔科大戦だ。当時の魔法使いのリーダーは…」
一通り怒られた後俺は再び授業に参加せずにまた眠りについたのだった。
「裕也寝すぎだろ」
高身長なでか男の手が俺の髪をわしづかみにする。
「やめろ~俺の…俺の髪が~…」
俺の悲痛な声にいつも耳を貸さない幼馴染、直江浩司だった。
「髪なんか気にすんな。男は短髪だ!」
「てめえは考えが古すぎんだよ。だからもてねえんだろが」
「古くないはずのお前だってもててねえじゃねえか」
「単にあんたたちに魅力がないからでしょ?」
「「なっ…」」
やれやれといった感じに浩司と同様幼馴染の羽田美也と美也と仲のいい鮫島夕がやってきた。
「裕也はいいとこも悪いとこもない凡人、浩司は顔とか身長はプラスだけど古臭いのがマイナスつまりプラマイゼロ。ほら魅力ない」
「てめ…」
「あっ裕也成績悪すぎてマイナスだから凡人以下だわ」
「…お前はその口さえなんとかなりゃ完璧なのにな」
「あら、こんな口きくのあんたたちだけよ~それより聞いた?今年のワーク当番うちの学校らしいよ」
「うへっ俺ら運悪っ…まあだれかやるんじゃねえの?」
「それは…」「たぶん…」
鮫島と浩司は気の毒そうに俺を見た。
「えっ…何?」
すると美也も気の毒そうな顔をして言った。
「たぶん罰ってワークじゃないの?」
「……たぶんそうだ……」
俺は血の気が引く思いがした。