第六話 相談室
お待たせしました、久しぶりの更新です!楽しんでいってください!感想くれた方々、ありがとうございました!
タッカタッカタッカタッカタッカ…
誰もいない廊下に、二人分の足音が響いた。
――キィ……
相談室のドアが開く。
中には、角張った机が一つと、椅子が二つだけしか無かった。
岩多先生はあたしを椅子に座らせると、
「待ってろ。ちっとでも動いたら承知せんぞ。」
とだけ言って、足早に相談室を出ていった。
「はぁ……」
自分でも聞こえないくらい、小さく溜息をつく。
――あたしは何もしてない。誰の迷惑になったわけでもないのに…
志杜山学園は、何事にも基本的には“生徒の自由”を尊重しているので、相談室に呼び出されることはまずない(と、ほとんどの生徒は思っていた)。
呼び出されるのは『行いが本校の秩序を乱した』生徒だけのはずだった。
「んぁ〜…」
考えれば考えるほどイライラしてくる。指で机をたたく。
コンコンコンコンコン…
――このドア、蹴破って出てってやろうか。
頭の中を邪悪な怒りが支配していく。
――いつになったら先生は戻ってくるわけ?あまりにも遅すぎるんじゃないかなぁ…
――ぐきゅぅ
…あれ?
――きゅるるるる〜
あたしのお腹がパニックを起こし始めた。
…そういえば、朝は食欲無くてバナナしか食べてないんだったっけ。
――ここ、何か食べ物ないのかなぁ…?
部屋を見るかぎり、そんな物は無さそうだ。
何気なく携帯に手を伸ばす。
校内は携帯禁止だけど、バレなければ別に問題にはならない。
電源を入れる。画面に光が宿る。
『新着メール無し』
当たり前か。この携帯のアドレスを知ってるのはお母さんだけだし。
パチンと携帯を閉じた。
…その時。
「はぁ、うっせぇよ!!てめぇなんかの指図は受けねぇっつったの!おわかりですかぁ?」
ドアの向こうから男の子の声が聞こえてきた。
「うるさいのは貴様じゃバカもん!相談室入っちょれ!」
岩多先生の怒号と共にドアが開き、男の子が吹っ飛んできた。
――ガゴン!
頭を机の角で打つと痛いんだよなぁ…
突然の事に驚きながら、頭の片隅でそう思った。