第三話 思惑
初めての前書きです。『迷子の子猫。』楽しんで頂けているでしょうか。ここで一つお詫びがあります。第二話の由羽がパンチを繰り出す場面、日本語としておかしかったです。すみませんでした。これからも頑張って書いていくので、引き続きよろしくお願いします!
何で李斗は笑っているんだろう。
まあ、何でもいいや。これで助かる。李斗の家に入れてもらえばいい。
「李斗ッ助け…」
あたしが横を見た、その時。
――ボスッ
お腹の真ん中に野純さんのパンチが直撃した。
「いッッ……」
声にならない悲鳴をあげ、道路に倒れる。
アスファルトがジリジリとあたしを焼いていく。
「李斗っ…助け…て…」
李斗は笑みを浮かべたまま、言った。
「あれ?俺ン家の前で何やってんの、か・や・ま・さん?」
野純さんが李斗に駆け寄っていく。
「ねぇねぇ李斗ぉ?この子だぁれ?」
「なんだよ、由羽は知らねえの?ほら、俺等のクラスにいるじゃんか。俺の斜め前の奴。」
「あっ、あいつかぁ。いつも存在感薄いから気付かなかった!」
二人は笑った。こっちを見ながら。
あたしはどうしたらいいかわからなくて、ただその場に倒れていた。
李斗がこっちを見て、言った。
「おまえがこんなにバカだとは思わなかったよ。現実的に考えてメールで“殺されそうだから助けて”なんてのがくると思う?」
私は声を絞り出した。
「全部…嘘…だっ…たの…?」
「あぁ、そうだよ。」
李斗はクスリと笑うと、言った。
「最近、ちょっとヒマしてて。んで由羽としゃべってたらお前に対して由羽が怒ってることが判明してさ。『香山さんは李斗の何なの?いっつも李斗にベタベタしてさあ。』とか言ってて。俺としては可愛い由羽の思いは誤解にすぎなくて、何も特別な関係じゃないってわからせたかったんだ。それで」
李斗はあたしから目をそむけて、言った。
「なかなか“幼馴染み”から解放してくれない蘭を、こっちから話そうってことになったんだよ。」