起きろ
ショートです。
1000字もありません。
さらっとお気軽にどうぞ。
りん。
りん。
りん!
りりん!
りりりりん!
起きろー。
りーん。
起きろよー。
りーん、りーん。
起きろってば。
りーんりーんりーん。
おーい、いい加減に起きろよ。
りーん。
おい。
……りん。
あー、起きねー……。
いつまでも起きないオレの主人。
目覚まし係を自任している俺は全くの役立たずだ。
毎朝頑張って起こしてやっているのに。
でも今日はいつにも増して頑固な寝坊でうんともすんとも言わずに寝こけている。
あ~あ、腹まで出して……。
下しても知らねーぞ?
お?
起きるか!?
あ~……。
寝返りをしたご主人は何とも幸せそうな寝顔を晒して、筋肉はつかないが無駄な脂肪はない腹を寝巻からたくし上げている。
そんなに暑いか?
明け方になって毛布を蹴飛ばしていたが。
下穿きは腰ひもも解けてずり下がり絶妙にヤバい光景。
寝相が悪いこの男はなんと見目麗しい高位貴族の若君だ。
ここは学園の寮。
侯爵家の若君なのだが王都の学園に入学してから毎日ずっと始業ギリギリまで起きない。
今までこんなに寝穢い生徒はいなかったぞ。
今年の主人は手古摺りそうだ。
だが、オレは知っている。
この主人、実はものすごく怖がりでゴーストが大嫌い。
最初の出会いが拙かったのかもしれない。
あいさつ代わりにちょっと姿を現してみたらものすごい悲鳴をあげて建物の外まで逃げて行った。
寮の隣室の先輩が連れ戻してきてくれたのだが、主人は隣人の背中に隠れて戻ってきた。
顔面蒼白で涙が浮かんでいた。
びっくりさせて本当に申し訳なかったと反省している。
世の中こんな俺たちみたいな存在が苦手なヤツがいることを忘れていたんだ。
今までこの部屋あんまり使われていなったから嬉しくて。
まあ、あれだけ怖がっているんならオレの本気の起こし方なんてしたら、きっと怖すぎて心臓がぶっ壊れて死んでしまうだろうからやらない。
そんなわけで、俺は姿を現すことができず、ずっとベルを鳴らすだけという縛りで起こし続けている。
ん?
そろそろ起きそうか?
そう!
頑張って起きろ!
もう本当に遅刻するから!
……。
おぉっ!!
起きた!
偉いぞ!
あ~……。
こほん。
『おはよう』
「……おは……よう?」
あ、やべ!
姿が見えてた!?
「ぎゃ~!!!」
耳を劈く主人の大絶叫は学園中に轟いた。
主人は白目をむいて気絶した。
こんな姿は女性たちには絶対に見せられないなぁ。
すまん主人。
今日も遅刻が確定した。
ぐすん。
主人の絶叫の方が怖いわ……。
学園の寮に備え付けられている目覚まし時計の付喪神の視点。
この付喪神イケメンだと思っています。
若君も美形。
おやこれは、BでLな要素に入るものなのか?
でもこの付喪神はLOVEな気持ちが微塵もないし、若君も時計に欲情するわけもない。お化けキライだし。
ただ作者がちょっと腐女子につま先入ってて、美形が腹を出して寝こけているシーンを書きたかった(欲しかった)だけ。
セーフだ。ふぅ。




