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幼馴染みで婚約者だった彼に切り捨てられてしまいましたが、自分にできることをしながら生きていたところ意外な良縁に恵まれました。  作者: 四季


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22話「小さな言葉が嬉しくて」

 初めての王城訪問は無事終了した。


 ラムティクとの時間は平穏そのもので、かつ、とても楽しいものであった。


 私は楽しかったし彼も楽しかったと言ってくれていた。

 そういう意味ではお互い楽しめたのではないだろうか。


 彼は一生懸命私を楽しませてくれていたけれど、私は彼を楽しませられるような器ではないので、正直なところを言うと不安だった。こんな感じで大丈夫なのだろうか、と思って。考えれば考えるほどに彼を楽しませられているとは思えなくて。自信がなかった。


 けれども最後に彼が「来てもらえて本当に良かった。とても楽しかったです、ありがとうございました。よければぜひ、また、こうして会いましょう」と言ってくれたので救われた。


 ああ、これで良かったんだ……。


 彼の真っ直ぐな言葉を聞くとそう思うことができた。


 特別なことはできなくて。

 特別なもてなしなんてできなくて。


 私にできるのは、ただ彼と共に過ごすこと、それだけしかなくて。


 でもそれで良かったのだと思えたから。

 ほんの少し前向きになることができた。


 すべてはラムティクが心を素直に伝えてくれたから。


 そのおかげで穏やかな現在がある。


 また会えたらいいな。その時のために面白い話題を集めておこう。……なんて考えて、浮かれ過ぎだろう、と自分で自分を突っ込みを入れたり。でも、次回はきっとあるのだから準備は必要だ、と改めて自身に意見を述べてみたい。そんな時間を過ごすのも無意味なようで無意味ではないのかもしれない。


 ――以降も何度もお誘いはあった。


 ラムティクは定期的に連絡をくれた。

 そして城への訪問やどこかへのお出掛けなど色々誘ってくれた。


 どこにいても、何をしていても、彼と過ごす時間は楽しくて。


 彼には本当に多くの幸せを貰った。


 ある時ふとした瞬間に「私と過ごす時間、無駄ではないですか?」と尋ねてみた。すると彼は当たり前のように「そんなこと、考えてみたこともありませんでした。なぜならそんなはずがないからです」と返してくれ、少ししてさらに「無駄なら誘いませんよ」と付け加えてくれた。その時の彼の瞳は真っ直ぐな色を宿していて。その目は機嫌取りで嘘をついているようないい加減な人間の目ではなかった。

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