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幼馴染みで婚約者だった彼に切り捨てられてしまいましたが、自分にできることをしながら生きていたところ意外な良縁に恵まれました。  作者: 四季


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16話「約束の日までのあれこれ」

 ラムティクへ返事を出すことにした。


 というのも、手紙を貰えたことが本当に嬉しかったのだ。加えて、彼が無事であることへの安堵を伝えたいという気持ちも大きかった。


 ただただ今の心境を伝えたくて、私は便箋を取り出した。


 すぐに会うことはできないけれど今はもう悲しくはない。理不尽な襲撃への怒りは完全には消えずとも、絶望は宙に散って消えた。


 生きてさえいてくれればそれでいい、生きてさえいてくれれば、いつかはきっとまた会えるから……。


 離れていても心は傍に在る。良い時も悪い時もすべて含めて、どんな時も連帯の意思を持っている。そのことを伝えたくて筆を手にした。



 あれから十日ほど時が流れて。


「マリエさん、ですね」

「え。あ、はい、そうです」

「退院された殿下より伝言があり参りました」


 遣いが我が家へやって来た。


「ラムティクさまからの伝言、ということですよね」

「はい、その通りです」

「お聞きしたいです」

「ではお伝えします。まず、手紙は受け取った、とのことです。喜んでいると伝えておくよう指示がありました」


 それを聞いてほっとした。

 あの手紙はきちんと彼のもとへ飛んでいってくれていたのだと知ることができて嬉しかった。


「そして次ですが」

「はい」

「近々マリエさんを城へ招きたい、とのことです」


 城への招待の件についても返事として出した手紙に書いておいたのだ。前向きに考えたいと思っている、と。機会があれば行ってみたい、もう迷わない、と。だからこその改めてのお誘いなのだろう。


「返事をいただけますでしょうか」

「お招きありがとうございます、ぜひ行きたいと思っています」

「では殿下へそのように伝えておきます」

「お手数おかけしましてすみません、ありがとうございます」

「いえ、仕事ですから」



 それから数日が経ち、改めて、城への招待を報せる手紙が届いた。


 手紙と言っても前にラムティクがくれたようななんてことのない話も含んだものではない。どちらかといえば事務的なカラーの強いものである。ただ、それも当然なのだ。前回のものは個人的な手紙であったのだけれど、今回のものは城へ招くという意味を持った手紙であるわけだから。二通が持つ意味はそれぞれ異なるもの、ゆえに、その雰囲気が同一でなくてもおかしな話ではない。


 城へ行く日はついに決まった。

 緊張はするけれど楽しまなくては損だ。


 ラムティクは善良な人だから、きっと、私を傷つけるようなことはしないだろう。


 彼を信じて。

 前を向いて。

 今はただ与えられたチャンスを逃さずに歩もう。


 その先にはまたきっと見たことのない世界が広がっているはずだから。


 そしてそこには希望も光もあるはずだから。


 服ってどんなの着ていけばいいんだろう――なんて思っていたことは、ここだけの秘密にしておこう。



 そして約束の日。

 前もって決まっていた時間に家の前へお迎えが来た。


「どうぞ、お乗りください」

「ありがとうございます」


 母親とも相談して決めたワンピースは私が持っている中ではそこそこ高級な生地のもの。ただしデザイン自体は派手ではない。そして色みもラベンダーを想わせるような控えめなものだ。清潔感はほどよくあり目立ち過ぎない、そういうところを目指した結果このワンピースを着ることとなった。


「お荷物はこちらへ」

「あ、はい」


 ラムティクは少し用事が入ってしまったそうで迎えには来れなかった。

 なので城へと向かう道は一人となってしまった。

 でもそのことについては気にしていない。ラムティクは高貴な人だし、それゆえの忙しさがあることは知っている。彼には彼のいろんな事情があるということはきちんと理解しているつもりだ。だから小さなことへ文句は言わない。

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