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結婚したら、夫に愛人がいました。  作者: 仲村 嘉高
蛇足(ざまぁのその後)

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あいじん

今回のざまぁは、本編通してジワジワとずっとやっているつもりだったのですが、物足りない方が多かったみたいなので(^_^;)(アルファポリスでの感想)

ざまぁされた方々のその後です。

あくまでも蛇足なので、ご了承ください。




「あ、い、じ、ん」

 ロラは八歳の息子が口にした言葉に驚き、その手元を覗き込んだ。

 息子は辞書で『あ』の(ページ)を開き、愛人の意味を調べていた。

「あんた、何調べてんの?」

 ロラは辞書を取り上げ、近くのソファへと放り投げる。


「あ、何すんだよ! 学校で言われたんだよ、あいじんの子って!」

 怒りながら辞書を取りに行く息子は、平民の為に教会が開いている無償の学校へ通っている。


 ジョエルの子供として認められなかった為、男爵令嬢であるロラの子として国に届け出たのだが、その時には既に犯罪者となり貴族籍は剥奪されていた。

 犯罪者と言っても身分詐称だけなので貴族籍剥奪だけで済み、平民としては普通に暮らす事ができる。


 結果、子供の身分は平民である。

 子供の実の父親は平民のトーマスなので、順当といえば順当な身分である。



 そのトーマスは今、ロラと一緒にウッドヴィル伯爵邸本館に住んではいるが、貴族の未亡人に半分飼われている。

 半分というのは、子供の世話の為に毎日きちんと戻ってくるからだ。

 ウッドヴィル伯爵邸ではまともな食事が出て来ないので、トーマスが街の食堂に連れて行くか、何か買って来ていた。


「なぁ、俺の息子なんだから連れてって良くない?」

 夜、息子が寝た後でトーマスがロラへと言う。

 ここ最近、毎晩同じ話をしている。

 息子を連れて職場に行きたい、らしい。貴族の豪華な食事を息子にも食べさせたいようだ。

 トーマスは自分に似ている息子が可愛いのか、甲斐甲斐しく世話をしていた。


「私の子として国に届けてるんだから、無理に決まってるでしょ。ほら、追い出されたくなかったらお勤めしなさいよ」

 ロラはトーマスをベッドへ誘う。

 元々レベッカの愛人として雇われたトーマスの仕事は、閨事である。

 それしか出来る事が無いのだ。


 ジョエルの愛人であるロラの愛人。

 それが今のトーマスの立ち位置だ。


 執事見習いとして真面目に勉強しようとした事もあったが、基礎が無いので無理だった。

 だからトーマスは、息子には自分と同じ思いはして欲しくないと、教会の平民用の学校へ通わせていた。




「なぜ子供が出来ない!」

 今月も月のものが来たことをジョエルに報告したロラは、ジョエルに責められていた。

 ロラが妊娠出来るようになった事は証明されているが、一度不妊の診断が下されているので、ジョエルは妊娠出来ないのはロラ側に問題があると思っている。


 魔法契約のせいでウッドヴィル伯爵の正当な血筋しか妊娠出来ないロラは、今後誰の子供も妊娠する事は無いだろう。

 自身にウッドヴィル伯爵の血が通っていない事を、ジョエルは知らない。



「アンタに問題があるんじゃないの? 種無しなのよ!」

 約十年、自分ばかりが責められるので、ついにロラが反撃をした。

 ロラは一度妊娠出産しているので、元に戻ったのならば自分に原因が無いと思っていた。

 間違ってはいない。


「悔しかったら、妊娠させてみなさいよ!」

 ロラとしては、自分を、という意味だった。

 しかし既にロラへの愛など底を突いていたジョエルは、屋敷にいた他の女を妊娠させた。


 ロラの友人であり、話し相手(コンパニオン)として雇われていたあの女である。

 ギルドの受付をしていた程度には可愛く、愛想も良かった。ロラより年も若い。

 不妊は治ったロラだったが、体型が戻る事は無い。これからも。

 今は後継者問題の為だけに、ジョエルはロラと閨を共にしていた。




 一年後に生まれた子供は、ジョエルにそっくりの女児だった。

 庶子ではあるが、ジョエルの実子として国に届けられた。

 しかし魔法契約があるので、ウッドヴィル伯爵を継承する事は出来ない。

 当たり前だが、婿をとっても同じだ。


「お前さえいなければ!」

 今でも後継者を作る為に、ジョエルとロラは月に一度閨を共にしている。

「はぁ? 浮気しておいて何言ってんのよ!」

「お前の方が先に浮気したんだろうが、この豚!」

 怒りを込めて、ジョエルが腰を打ち付ける。


 レベッカを陥れてまで愛を貫こうとしたのに、今では愛を確かめ合うはずの行為中に、お互いを(けな)(ののし)っていた。




 その後、ジョエルは税金を納める事が出来ない事を理由に、爵位を伯爵から男爵まで落とす事になった。

 結婚前は遺言書を理由に後見人が色々手配し、領地管理人もいたのだが、後見人がいなくなり、きちんと管理もせず使うばかりであれば当然の結果だった。


 後見人は自分の娘を押し付ける気満々だったので、かなり力を入れて手伝っていたのだろう。

 むしろジョエルが無能なのは、後見人のせいとも言える。


 かなり小さくなった領地へ、ジョエルは二人目の愛人と子供と共に引越した。

 ロラは王都に残り、ジョエルとは別れた。生活が苦しくなり、子供の親権をトーマスに売るのは、数年後の事である。



 その頃には法律も改正され、レベッカは公妾から正妃へと変更されていた。ジョエルとは離婚となっていたが、魔法契約は解除されなかった。

 しかし伯爵から男爵になった事で、今の愛人が産んだ女児に爵位継承が認められた。


 皮肉な事である。




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