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短編(恋愛タグ)

今世こそ婚約者を探しているのに、前世の記憶が邪魔をするんですけど

作者: 七地潮

こんにちは、私の名前は ヒース・ルクタリア、16歳。


ルクタリア伯爵家の次女に生まれ変わった、元オタクな腐女子喪女、名前は……名前は…………水田 真莉………。


いや、元々の苗字は違ったのよ?

母さんの再婚で【水たまり】になっちゃった時のあのショック!

小学生のクラスメイトに散々揶揄われて虐められたから、引きこもりニートな腐女子喪女になんてなったんだと思うよ。


それなのに、母さんがお見合いだって持ってきた釣書の、相手の苗字は 小田さん………。


いや、全国の水田さんや小田さんは全然悪くないよ?

ただ、子供の名前をつける時は、先々の事も考えてあげてよね!

些細なことが虐めに繋がるんだからー!!




って、何故こんなに力説してるかって、今まさに婚約の申し込みを受けてます。

今世こそ結婚するぞ!と意気込んで釣書を見てるんだけど、相手がね……。



学園の一つ上の先輩で、スポーツそこそここなすし、頭も悪くはない。

人付き合いも問題なくて、顔は普通。

女の噂もないと、結婚相手にはとても良い物件なんだけどね……、相手の御苗字が


テリヤ伯爵


私の名前は ヒース。


結婚すると、ヒース・テリヤ!



いや、わかってるよ、ここは日本じゃない、剣と魔法と髪の毛の色のカラフルなファンタジー世界。


だけど、散々虐められてきた私のガラスのハートは、転生しても癒されきってないのよ!



と言うことで、申し訳ないけどお断りさせていただいました。






こんにちは、私の名前は ヒース・ルクタリア、17歳。


そろそろ婚約者を決めないと、この世界では適齢期は十代、前世みたいに、

「えー、母さん、私まだ27だよ、結婚は30過ぎてからでも良くない?」

なんて言ってられない。



そんな私に届いた釣書は……


前子爵が病気療養の為、若くして爵位を継いだ、24歳の子爵様。


顔は優しげで、ちょっとぽっちゃり。

実際は見た目と裏腹に、領地運営をキッチリこなす優秀な頭脳と柔軟な感性を持った優良物件。

さらに慈善事業に力を入れてるんだって。


ぽっちゃりだから女性受けは良くないみたいで、女の影なし。



でもね、この子爵様のお名前が、ローリー様なんだけど、家名が………クォン子爵…。


ローリー・クォン……


女性の影は無いんだけど、慈善事業が孤児院の経営で、こまめに孤児院に慰問しているとか。

その孤児院は、5歳から12歳までの子供を面倒見ているそうで、13歳過ぎると仕事場を斡旋しているそう。


いや、深読みは良く無いよ?

なんで12歳までなのかとか、男の子一割で、女の子ばかりだね、とか考え過ぎだとわかってるよ?


でも、なんだか、嫌だ。


因みに、父親の療養先に母親と一緒について行った弟さんのお名前は、


マァザ・クォン


………………なんだ、その名前……

ローリーならまだあり得るけど…

とか思うのは、前世の記憶のせい?



とにかくなんか嫌で、お断りさせていただきました。







こんにちは、私の名前は ヒース・ルクタリア、19歳。


そろそろ両親からの視線が痛いです。


前世のように、

「えー、じゃあパー様連れてきてくれたら結婚する〜」

なんてアホな事ぬかせない世界です。


そんな私に、なんと、公爵家からのご縁談が!


残り物には福があるってこの事だよね!



お相手は、マキシム・フライム様、公爵家三男、29歳。


12歳下の婚約予定の方が居たんだけど、なんと、2年前護衛騎士と駆け落ちしたそうで、2年かけて傷が癒えたところ、適齢期の女性は殆ど既婚者や婚約者がいるし、若い子だと古傷が痛むそうで、私に話が来たと。


私の感覚的には、29歳(当時は27歳?)なんて全然おっさんだと思わないけど、当時15歳の女の子としては、おっさんに思えたのかな。


いや、今の年で考えるとOKでも、よくよく考えたらこの人こそロ……

 



顔合わせで本人に直球で聞いてみたよ、断られるならそれまでと腹を括って「若い子が好きなのですか?」って。

変化球なんて私にはムリだからね。

すると詳細は、相手の令嬢の実家が没落寸前で、資金援助のため、娘を差し出してきたと。


マキシムはマキシムで、仕事に集中したくて、まだ結婚する意思がなかったけど、周りがうるさ過ぎるので、偽装結婚でもしようかと企む。


白い結婚で、相手が若いうちに離婚する予定で話を受けたんだけど、相談する前に娘が逃げ出したと。


マキシムは、これ幸に「婚約しようとしたのに逃げられて傷心だから」と、縁談話を断り続けて今に至ると。

因みに相手令嬢の実家には、そんなギリはなかったけど、こっそりと資金援助をしたそうな。



そうしてのらりくらり躱してきマキシムも、流石に30迄には結婚しなければならないな、と思ったはたはいいけど、気付けば周りに適齢期の女性はいないし、わざわざ生活習慣の違う他国で相手を探すのも面倒。


ならば、爵位を落として伯爵家なら…と探したところ、ヒットしたのが私だけと。


まあ、私も恋愛結婚なんか望んで無いし、歳をとっての生活の保障として結婚するかな、親もうるさいし、って感じなので、話を受けることにした。


行き遅れ一歩手前ってのもあったしね。

今世こそ一度くらいは結婚しときたかったしね。


お互い妥協かもしれないけど、話し合ってて嫌悪感ないし、価値観の差も思ったほど激しくない。

思考回路が理解できないって事もない。


なら、一緒に生活してるうにちに、愛情ではなくても、家族としての情くらいは育つでしょうとお互い納得しあって婚約へ。


と言うわけで婚約して一年後、無事結婚する事が出来ました。






さてさて、そこで終わればハッピーエンドなのに、私の人生そうは問屋が卸さないようでして………。



結婚後にマキシム様は、公爵家が持っていた爵位の一つの伯爵位をもらったんですよ。


そこそこ栄えている領地で、のんびりスローライフ、子供も男の子二人と女の子も生まれて、生活に何一つ不自由は無いんだけど………無いんだけど!!



何で受け継いだ爵位の名前のおかげで、自己紹介するたびになんとも言えない感情が湧き上がるのよ。


いや、だから日本じゃ無いんだから、意味ないのはわかってるよ?

でも、なんで前世も今世も名前で落ち込まされるのよう!!


今日も招かれたお茶会で呼ばれるのね、私のフルネーム………。



「ヒース・バーバナノヨウ夫人、お茶の準備が整いましたわ。

こちらへどうぞ」


「ありがとうございます、アリエネス・マジカヨ夫人。

参りましょう、スキナーノ・ヘッターレ夫人、チィズ・モッツァレラ令嬢」




………この世界の名前、おかし過ぎなんじゃないの………………。






お茶会参加者の旦那の名前はきっと、

オラハラグロ・マジカヨ伯爵、キヨワスギー・ヘッターレ伯爵とか?

令嬢の両親は、トローケル・モッツァレラと、サーケルネ・モッツァレラご夫婦かな。


日本では無いし、日本語の無い世界なので、主人公が考えているような意味は一切無いです。


あくまでも、前世の記憶が、邪魔をして、ぐるぐるしているだけの話でした。

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