1.微睡む記憶。
ここから第1章です(*'▽')
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「けほ、けほっ……!」
一人の幼い少女が、ひどく咳き込んでいる。
周囲の大人たちは慌ただしく駆け回っているが、彼女に構っている暇はないらしい。戦況の悪化に伴い、物資は枯渇状態に近かった。ともなれば、病弱な少女の一人に費やす時間を捻出するのは困難を極める。弱い者、力のない者から死に至るのは、大きく見れば大自然の摂理だった。
「……誰か、助けて…………」
病床の少女は必死に、天井へと手を伸ばす。
誰に向けられたものではない。それでも、必死に手を伸ばした。
その先にいるのは、伝承に書かれた神々のような存在、なのだろうか。涙で歪む視界には、彼女を助け出そうとする者はいなかった。
いない。
そのはずだったのに。
「私が貴女を助けます……! だから、気をたしかに!!」
「え……?」
誰かが、少女の手を取った。
大粒の涙を流しながら、その人は声を震わせて誓っていた。
それを耳にした瞬間に少女は、理解する。この人は必ず、自分を救ってくれる。――いいや、自分だけではない。きっと自分と同じような命、その多くを救うのだろう、と。
だって、その手はあまりにも温かかったから。
「ありが、とう……」
父も母も知らない少女にとって、それは初めて知った愛情だった。
ならばきっと、その人の優しさはこう呼ぶのが正しい。
「……『お母さん』」――と。
深い眠りに落ちていく。
自分が誰なのか分からない。
それでも間違いなく、この瞬間に彼女は命を救われたのだった。
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