表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/7

1.微睡む記憶。

ここから第1章です(*'▽')

趣味満載の作品ですが、勢いで突っ走ります!


続きが気になる方はブクマや評価で、応援を! 創作の励みになります!!








「けほ、けほっ……!」



 一人の幼い少女が、ひどく咳き込んでいる。

 周囲の大人たちは慌ただしく駆け回っているが、彼女に構っている暇はないらしい。戦況の悪化に伴い、物資は枯渇状態に近かった。ともなれば、病弱な少女の一人に費やす時間を捻出するのは困難を極める。弱い者、力のない者から死に至るのは、大きく見れば大自然の摂理だった。



「……誰か、助けて…………」



 病床の少女は必死に、天井へと手を伸ばす。

 誰に向けられたものではない。それでも、必死に手を伸ばした。

 その先にいるのは、伝承に書かれた神々のような存在、なのだろうか。涙で歪む視界には、彼女を助け出そうとする者はいなかった。


 いない。

 そのはずだったのに。



「私が貴女を助けます……! だから、気をたしかに!!」

「え……?」



 誰かが、少女の手を取った。

 大粒の涙を流しながら、その人は声を震わせて誓っていた。

 それを耳にした瞬間に少女は、理解する。この人は必ず、自分を救ってくれる。――いいや、自分だけではない。きっと自分と同じような命、その多くを救うのだろう、と。



 だって、その手はあまりにも温かかったから。



「ありが、とう……」



 父も母も知らない少女にとって、それは初めて知った愛情だった。

 ならばきっと、その人の優しさはこう呼ぶのが正しい。



「……『お母さん』」――と。




 深い眠りに落ちていく。

 自分が誰なのか分からない。

 それでも間違いなく、この瞬間に彼女は命を救われたのだった。



 


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!




もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。

創作の励みとなります!


応援よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ