導かれる物語
「ふーん。で、なんで俺の部屋に来たの?出動して終わりなら、問題なくない?」
「そうなんだけどさ。なんか『異臭』がしたんだ。酷く嫌な予感がした。あとは、そうだな。なんとなく、会いたかったから、かな」
照れ臭そうな顔。イケメンは様になる。写真を撮る気持ちがわかる。
クリスマスマーケット。キラキラした街にうっすら浮かぶシルエットにイケメン。
くたばれ。
僕にみせられても、ちっっっとも嬉しくない。
ただこいつの直感はまず外れない。
「物語」の始まりなことは間違いない。
怨恨か?それともなんだろう?
「そいつ、今どおしてる?」
「あ?とりあえず勾留中。10日後に保釈予定」
カチリカチリ。
視界の隅でピースがはまっていく。
「2枚の写真」は古ぼけたアパートメント。
もう一枚は、一部が消えたネオンサイン。
ショートムービーは果物籠。中にはダイヤの首飾り。
驚く学生のような二人組。身なりは良くない。
「そいつから奪った元カノって知ってる?」
「いや、全然覚えていない」
クズ野郎。ちっとは大切に扱え!
相手いない歴=年齢の全員に謝れ!
「だから、急いで会いにきた」
「とりあえず、彼女を探して」
「わかった」
そろそろ、帰るか。
あー、眠い。疲れたな。足が。