コウモリ
オリファー・クラウン。
世界の頂点たるクラウン血族の時期当主。
そんな彼がベッドの上でただの人族である俺の足元にすり寄っていた。
一村帝。
愛称はカイザー。
ふざけた名前だ。
よく名前で弄られやり返し、立派な不良になっている。
この世界ははるか昔、今は血族と呼ばれる吸血鬼達に支配され…階級社会となった。
俺は下の下、三流人族。
下から三流、二流、一流、三級、二級、一級、特級となる。
その上は血族の眷属。
眷属にも位があるらしいがそちらは知らない。
俺には一級の親友、神士高矢がいる。
彼が話しかけてきた。
「よ!カイザー!聞いたか?この『千世市』であのクラウンの時期当主、オリファー様が眷属をスカウトしに来るんだってよ!」
興奮しながら話してきたのはそんな内容だった。
「はァ?あのクラウンの?」
クラウン。
世界を統べる血族の君主にして最強の称号を持つ血族。
その次の王、オリファー・クラウン。
数多くの兄弟の長男で現当主の父を超える力と能力を持ち、高いカリスマにて世を統べる血族。
三流の俺なんて全く釣り合わないが。
今回のスカウトは地位を拒まないとか。
スマホのリインで親父から挑戦してみないか!等とほざいている。
「すげェけどよ。俺なんか行ったらァ、死ぬだけだぜェ?俺なんかよりもっと強い奴らと行けよォ。」
「うーん…やっぱりカイザーとがいいんだよ。ちなみに明後日だからさ、心変わりしたら一緒に行こう!」
「前向きすぎだァボケェ。」
家に帰り親父もオリファー様の眷属にならないか!
とまだ言ってきて。
母さんがまぁまぁ…と言いながらもじんわりと行ってきたら?という。
確かに、チャンスではある。
三流家族の俺が眷属になったら家族は一流人族になることができる。
それに眷属になれるチャンスがある。
それにお金も入る。
掛け金が命のギャンブルだ。
ため息を付きベッドにダイブする。
高矢は凄い。
地位も金も力も技能もある。
俺とは遠い存在だ。
上の階級の人達に三流の不良の俺がかなう相手でもなく、選んでもらう権利もないだろう。
ドサ
ん?
バルコニーに何かが落ちた気がする。
窓を開けて出てみると一匹のコウモリが落ちていた。
なんか色が白っぽいような…?
まぁいいか。
タオルを用意しタオルで包んで中に運び込む。
よく見ると怪我をしていたので水に付けたタオルで怪我したところを拭き包帯を巻いてやった。
気絶していて苦しそうに呼吸をしている。
机の上にタオルを積み上げ寝かせた。
水を用意して俺は眠りについた。
チクッと痛みが走った気がして目が覚めた。
清々しい朝。
そう言えば昨日コウモリ拾ったんだったっけと思ったら首が痛ェ。
なんか乗ってやがるなと思いみたら昨日のコウモリだった。
「はァ!?あァ…メシかァ仕方ねェなァ。血ィ吸うのか?だったら飲め飲めェ。気がついてよかったぜェ。」
満足するまで飲んだのかやっと牙を外した。
取り敢えず包帯を変えて様子を見た。
何かツヤツヤしてねェか?
キューキュー鳴いてかわいいなオメェ。
うりうりと撫でてやる。
んー…何かやっぱり白っぽいなコイツ。
血をすわれた噛み跡に絆創膏を貼り、朝飯を取りに下に降りる。
「ババァ!メシィ!んで怪我したコウモリ拾ったからァ部屋で食うわ。」
「はいはい。しっかり世話しなさいよ?」
「おゥとも。」
コウモリは血族の使い魔の場合が多い。
それか血族が化けることもあると聞く。
だから大切に扱うことが普通なのだ。
「コウモリ大人しくしてるな?」
キュッキュッと鳴いて喜んでるのか?
ぴょこぴょこ跳ねながら出迎えてくれた。
「傷が開くから跳ねるなァ。」
ったく、コウモリの親はどうしてんのかねェ。
あ、そろそろ学校の時間だ。
「コウモリィ、俺ァ学校にいかなきゃなんねェんだ。ここで待ってられっかァ?それとも自分で帰るかァ?」
ギュッ斗抱きつかれてくすぐったい。
窓をコウモリが出られるくらいに開けた。
「まァコウモリの好きにすりゃァいい。オメェの自由だからなァ。」
コウモリを机の上のタオルに乗せて手を降って学校に登校した。