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対宇宙人怪獣症

作者: はやまなつお


「ハロウ!久しぶりの照り焼き!」


「えっ、えーと・・・ひさし・・・ブリーズビートキャンプ!」


「ちょっと違うような。それはビリー隊長だから」


「それで何の用事ですか?もう寝る所なんですけど」


「のんびりしたことを。地球の危機だというのに」


「ほう・・・聞きましょう」


私はA。50代の男。

創造主のソウちゃん、と名乗る怪しいゴーストと会話している。


ソウ

「地球人は邪悪。人格チェックで言えばSABCDの内でC。

 銀河連盟に所属はできない。ワープ航法なんて見つけて他星に行ったら

 攻撃を問答無用で行う野蛮人。悪人削除をして平和路線で運営しないと。


 まだ経過観察中。でも地上げ屋が地球人を絶滅させて地球を売ろうとしている。

 その攻撃隊が、もうすぐ来る」


A「それでは地球側は勝ち目無いですねえ。

 アメリカ、中国、ロシアは月に進出してるらしいけど防げるとは思えない」


ソウ

「銀河連盟は地球人を「人権のある人間」と認めていない。凶暴な動物と見ている。

 だから助けない。表立っては。ちょっとまあこっそり私だけで手助けしようかなーってことで」


A「その話はアメリカか、イギリス辺りにしてくれませんか?」


ソウ「彼らでは対応できない。私の力を活用できるのは君だけだ」


A「地球代表ですか。それはちょっと。面倒なのでお断りします」


「3分」


「何が?」


「敵の到着」


「早すぎるっ!急過ぎでしょう!」


「地球奪われちゃっていいかな?」


「いいともみたいな言い方は」


「もうココナッツパンもチョコロールも食べられなくなるけどいいかな?」


「・・・・」


「君がファンの、女優の□□□とか歌手の○○○とかは幸せに暮らしてると思うけど

彼女たちが死んじゃってもいいのかな~?」


「漠然とした進め方ですねえ・・・ああ、OK。私に出来ることがあるならやりますよ」


「君は怪獣に詳しいよね?」


「詳しいというか。

 私の90%はウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブンで、できてますけど」


「だよね~。だからこそ。ではまず私の視力を与えよう」


ゴーストは手を伸ばして私の眉に触れる。




次の瞬間、地球の衛星軌道上にいた。

「おお。東丈が幻魔大王の幻影を見た時の場面・・・」


近くにソウも滞空している。


「幽体離脱状態らしいですね」


「そう。で、太陽系全体に知覚を拡大してみて」


やってみた。認識できた。


「木星あたりを。気づいた点は無い?」


「目が、動いている。生き物の目?」


「そう。怪獣の名前はモクセイガー。これは君の認識に合わせたネーミングだけど。

あれがこの太陽系の知的生命体の監視員。太陽が冷えるに従って内側に文明が移動していく。

うまく育てば旅立つ。ダメだったら滅ぼす」


「・・・・」


「で、地上げ屋の差し向けた連中だけど」


木星の横を10体が移動。

代表者が通過の許可をモクセイガーに求めている様子。


「モクセイガーは守護者ではない。見過ごすだろう。

地球人が「銀河市民」と認められていないから。


で、対策だが。こちらも怪獣を配置する。10体。

君の思念で作り出す。ゲームだ。


私は直接手助けはしない。たとえ君が負けても。

負けたら地球文明は崩壊。また原始時代からやり直すことになる」



3 開戦


地球に敵10体が接近。

まずは先制攻撃!


衛星軌道上の異次元怪獣テレポルドン(迷彩。戦闘力は低い)が敵1体ずつを

地球各地へテレポート(瞬間移動)させていく。



バミューダ海域。

敵の火炎怪獣を海に落とす。

こちらの蛸烏賊邪獣グラーケンが触手で巻いて海中へ引きずり込む。


昆虫タイプ怪獣を北極へテレポート。

アシカタイプの冷凍怪獣アシガルガーが冷凍光線で攻撃。


鮫形の怪獣をアフリカのゴビ砂漠へ。

こちらの火炎怪獣キングファイヤーが対応。


敵の植物怪獣を火山エリアへ。

火炎鳥獣フェニッグが対戦。


敵のスライムタイプの怪獣を南米の古代遺跡へ。

石化怪獣ズトーンが待ち伏せる。


ロボット怪獣を雷雨地域へ。

電気怪獣ブラズドンを配置。



神の視力を借りている私は、敵の能力・特徴を把握して、有利なマッチメイクを組んだ。

しかしここまでだった。


地球の衛星軌道上。

残りの敵4体の内、電気怪獣エレクドンがバリアを発生、仕掛けられたテレポート光線を防御。


テレポルドンの位置を捕捉、電流を発して金縛りに。

この状態ではテレポートで逃げられない。


敵の2体が接近、格闘戦タイプ。ブルーキングとオレンジキング。


テレポルドンの背後から護衛怪獣ガドロンが出現。

捕獲電流を断ち切る。2体を牽制、退却しようとする。


こちらの透明化怪獣ガメレオンがエレクドンを奇襲。

4本腕でガン、ガン、と叩く。火花を発して苦しむエレクドン。


ここで最後の敵の4体目が動く。

狙いは、こちらのテレポルドン。特殊能力を警戒。


無敵超獣パーフェクドン。外見は輝く甲羅のイグアノドン。胸に光。

左手から光る網を発してテレポルドンを捕らえる。


右手から伸びた光の槍で一撃。テレポルドンは分解消滅。

最初のアウトは地球側。


ガメレオンはエレクドンを破壊する。そして透明化。

戻ってきたパーフェクドンがレーダー光線で発見、やはり網、槍で倒される。


ブルーキングとオレンジキングは、連携攻撃でガドロンを倒す。

これで残りは宇宙側9、地球側7。


5分後、有利な対戦6つの決着がついた。

宇宙側は反撃したが及ばず、地球側の6体が勝利。


生き残りは宇宙3、地球7。


地球の大地へ降り立つパーフェクドン、ブルーキング、オレンジキング。

集まってくる6体をブルー、オレンジの格闘戦、パーフェクドンの網槍で次々撃破。


残りは宇宙3、地球1。


最後の地球側怪獣は1体のみ。待ち構える3体の前に現れる。

やる気がないだらけた様子。外見は弱そう。

コウモリとナマケモノを合体させたような造形。


「クワアアアア」低い叫び声。大きい耳から電波が発信される。すると。


3体の怪獣の動きが止まる。ブルー、オレンジは座り込み、さらに横になる。

パーフェクドンも作っていた電磁鎧を消し去り、やはり横になって力を抜く。

3体は眠ってしまう。


この怪獣は、ナマケモノ怪獣ダラケルダス、能力は、やる気をなくして気力を奪うこと。

のっそり近づいて、鋭い爪でパーフェクドンの光る胸を一撃、核を砕かれて消滅。


ブルー、オレンジも角を砕かれて消滅。地球側が勝利!




A「・・・フウ、良かった、勝てましたけど」


ソウ「さすがの猿飛、見事、ゲームの達人!」


A「じゃあもう眠いんで」


ソウ「君、軽いね、地球を救ったのに」


A「現実感がちょっと」


ソウ「現実感はこれからわかると思うよ」


A「?。あ、戦いの余波ですか、流星雨や隕石群とか。

 無人地域を選んだつもりだけど被害が」


ソウ「いや、そうじゃないけど。精神的な事。

 それじゃあ、お疲れさまータイムキラヤマト!」




翌日起きると。

世界中の人間が仕事をしなくなっていた。


ナマケモノ怪獣ダラケルダスの「やる気をなくす電波」は、

地球の人間全てにかかってしまったらしい。


全員が横になってのんべんだらりと過ごす。

生きる気力を奪われてふぬけ状態。


このまま文明は衰退して江戸時代に戻ってしまうのかと思っていたら。



1つだけ人々が意欲を燃やすことがあった。

なぜか世界中が野球に熱狂した。


それまではベースボールに興味がなかった人までが、野球をやり始め、

プロ野球に人気が集まった。世界はベースボール化した。


すべての交渉は野球の試合で決着をつけることになった。


私は当事者のせいか、この現象にはかからなかったが。

やがて原因が判明した。


プロ野球の試合、バッターが異様に気合が入っている。

打つ気満々、つまりやる気がない=「うつ病」、

「打つ病」だけに!


手本は横田順彌「対人カメレオン症」。

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