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第4話~願い~

新聞社にいた岸田は、御巣鷹の尾根に向かう準備をしていた。すると、会社の中の電話が鳴り、近くにいた部下の繁田が出る。


繁田「はい、夕日新聞です。はい、はい、分かりました」


繁田が遠くにいた岸田を見て、大きな声で


繁田「岸田さーん、小野さんという方からお電話です」


岸田は急ぎで電話に出る。岸田は正直そろそろ電話が来るんじゃないかと、薄々感じていた。


岸田「はい岸田です」


佳佑「もしもし、小野だ」


岸田「どうせニュース見たんだろう」


佳佑「よく分かったな」


岸田「何年友達やってるんだよ。こっちも今そのニュース見て、取材に行くんだよ」


佳佑「頼む岸田、俺を連れてってくれ」


岸田は驚きの表情をし


岸田「お前何言ってるんだよ。一般人を連れて行っちゃダメなくらい、お前だって分かるだろ」


佳佑「頼む岸田。俺は妹の命がかかってるんだ。頼む」


岸田は何分か悩み込んだ。それもそうだ。消えた飛行機の乗客の家族が探しに行きたいと、言っているわけだから、無視したら可哀想だ。そう思い


岸田「後で、編集長には俺から言っとく、家教えてくれ、迎えに行くから」


佳佑「岸田。ありがとう」


30分後、玄関前で待っていた佳佑の前に、岸田の乗った車が現れた。佳佑は複雑な気持ちのまま、車に乗り込んだ。

岸田はなんて声を掛ければいいか分からなかったが、一つだけ声をかけるとするならば、これだと思い


岸田「なぁ小野」


佳佑「なんだ?」


岸田「こんなこと、お前に言うのは苦かもしれないが、最悪なことは考えたほうがいい」


佳佑は信じられない様子でいた。最悪なこととは一体なんなんだと思い


佳佑「なんでそう思うんだ?」


岸田「目撃者がいるんだ。飛行機が墜落するところ、結構の炎が上がってたらしい」


佳佑「でも俺は信じない。だって咲良はいつだって、笑顔で乗り越えていた。だから今回も笑顔で、ただいまって言うさ」


佳佑は正直言って、自信は無かったが、生きていることを信じていた。


岸田「その気持ちでいろ」


佳佑は頷く。そのまま、車は長野に向かって走っていった。その道中も、車の中には重い空気が漂っていたが、気にせず、佳佑は寝ていた。

夢の中では、白い場所の中に自分はいて


咲良「お兄ちゃん、お兄ちゃん」


振り向くと、そこには咲良の姿があった。


咲良「お兄ちゃん、何してるの?」


佳佑「咲良、咲良――!!」


佳佑が目を覚ますと、岸田が必死に自分を起こしていた。


岸田「何寝てるんだよ。着いたぞ」


佳佑「あぁ悪い」


二人が車から降りる。そこには、地元のだろうか。消防団員や先に向かっていた、繁田や編集長ら夕日新聞の取材陣がいた。と、繁田が岸田の存在に気付き


繁田「あっ岸田さん」


岸田「おう、どうだ様子は」


繁田「まだ分からないんですが、ここから近道でも3キロはあるそうです」


岸田「3キロか」


繁田「でも、もう夜中ですし、道が見えにくいんで、どんなに遠回りしても6キロはあります」


岸田「分かった」


すると、近くにいた編集長が


編集長「おい繁田」


繁田「はい。また」


繁田は編集長に向かっていく。岸田は佳佑に


岸田「あれが編集長。一応、小野の件は全て伝えてある」


佳佑「答えは?」


岸田「おいおい、もちろん良いに決まってるだろ。ダメだったら連れてきてないよ」


佳佑「そうだよな」


と、突然、消防団長の方が二人に近づいてきて


消防団長「あんたら、取材の人かい?」


佳佑「いえ、彼は記者ですが」


そう言い、岸田は消防団長に頭を下げる。


消防団長「今日のところは、道が暗くてわからん。安全な道を通るから、着くのは夜明けになるがいいかね?」


岸田「もちろんです。よろしくお願いします」


消防団長は頷き、他の仲間たちに


消防団長「よし出発だ!!」


仲間たちが大きく返事をし、山の方へ向かって行った。記者たちもその後に追っていく。岸田は編集長の呼び止める、編集長が振り向き


編集長「なんだ?」


岸田「先ほど伝えた、小野です」


編集長は一気に優しい顔をし


編集長「辛かっただろ、苦しいと思うが、妹さんが生きてることを信じよう」


佳佑「はい、ありがとうございます」


編集長は肩を叩き、再び足を動かす。

一体何分歩いただろうか、もう既に空は明るく、太陽が出てきそうな感じだった。取材陣はとにかく疲労で一杯だった。すると、前を歩いていた、消防団の一人が、叫び声を上げた。何事かと、見ると、そこには真っ黒こげになった遺体があった。編集長がそれを見て、消防団長に


編集長「この近くですか?」


消防団長「そうだな、すぐ近くだ」


編集長らは足を再び動かし、前に進んでいった。佳佑は恐怖で一杯だった。咲良は絶対に生きてる、そう思いを信じるしかなかった。そして、とあるところで、全員が足を止めた。佳佑と岸田は後ろから、人をかき分け、一番前に進むと


そこには崖の下に大量の飛行機の残骸、多数の遺体などがあり、思わず鼻息が荒くなり、咲良の事が余計に心配になった。


佳佑「咲良、生きててくれ」


そういい、他の人たちと一緒に下に降りていくのあった。


第4話終わり


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