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プロローグ
「……お祖父ちゃん……。」
ここは東京某所にある、閑静な墓場である。この物語の主人公、仲居優は夏休み……お盆なので、家族と共に墓参りに来ていた。
墓の周りを箒で掃き、落ち葉を集める。墓前を綺麗にすると、優は一息ついた。
「……ねえ、お母さん……?」
祖父が病気で亡くなってから九年が経った。しかし、祖父の墓の周りには、墓が一つも建っていない。それが、優には疑問だった。
「何?ほら、優もお花と線香を供えなさい。」
「うん……。」
菊と饅頭、線香を供える。大好きな祖父の為に。優は優しい気持ちになっていった……。