破壊の光(前)
そのまばゆい光は当然、他の学生たちの間にも影響を及ぼしていた。
「展開。防魔術フィールド、中心点はあの禁忌の魔術の作用者」
ヒルダは『六獄』の襲撃を受けた後も、最初と同じようにスコープを除きながら指示を出していたが、さらに正体不明の光を認めた瞬間に、考えるよりも早く体が動き、櫓を飛び降りた。
地面に難なく着地し、問題となっている地点の近くまで行き、彼女自身もフィールドを張った。何者かが発している『六獄』の威力はすさまじく、彼女を押し倒そうとしていた。しかし、彼女の足が離れる瞬間、その威力は消え去った。
その衝動に対して、驚きを隠せず光の方を見てみると、一人の少女が上を見上げて何かをしていた。
(待って、その使い方じゃ――――)
ヒルダはある可能性に気づき、彼女を魔工石から引きはがしたかったが、引きはがすのに必要な魔力と彼女自身の魔力とはそりが合わず、彼女が助けられる可能性はほぼゼロであることにも気づいていた。
(誰か、いいえ、ルドルフ様、あなたならば――――)
彼女は少女を助けられると確実にわかっている主人の名前を念じた。もちろん、魔術具を含まない思念は届くことはない。しかし、彼女に言われるまでもなく、彼はわかっていたのかもしれない。すでにルドルフは動き出していた。