1橋目
彦星「テメェがこっち来いよ!!今年は面倒だから行かねぇぞ!!」
織姫「ッハァ!?あったま可笑しいんじゃないのアンタ!!そんな態度で誰が行くかっての!このバカ亭主!!」
コレはとある年の七夕の出来事である…下界の方が想像する七夕とは年に1回、離れ離れになった織姫と彦星が逢引するというロマンに溢れたものだろう。が、実際はそんな事ないのだ…
織姫従者「まぁまぁ…気を落ち着けて下さい…たまのお願い聞いて差し上げてもよろしいではないですか…」
織姫「たまの!?たまのだって!?違うわよ!毎年毎年まいっっっとし!!やれダルイだの、暑いだの難癖付けてくるから、毎回行ってやってたのよ!?でももう我慢の限界よ!!」
そう。織姫と彦星は頭が眩むようなずっと前から、年に1回大喧嘩をしている。理由は彦星の所謂ワガママである。
彦星「うるせー!!だって暑いし動きたくないんだよ!それにダルイ!そして眠い!やなこった!俺はぜーーーっっったい!!動かねぇからな!!」
彦星従者「アナタは毎年毎年…いい加減逃げられますよ?」
彦星「っるせー!!女は男の言う事を聞くものだ!よって俺が折れる必要はないもんねーだ!!」
彦星従者「いや…ソレはどうかと…」
織姫「今のご時世に〈女は男の言う事を聞くべき〉だぁ?ばっかばかしい!セクハラで天界裁判所に申し立てしてもいいのよ!」
彦星「うるせーうるせーうるせーやい!!裁判所でも製作所にでもどこへでも申し立てしとけ!ついでに着物のサイズをデカくして欲しいっつう申し立てもしとけよ!デブってんだろ?ん?」
織姫「あったまきた…離婚よ!り・こ・ん!!もう顔も見たくないわ!」
彦星「どーせ年に1回しか顔見れないっつう別居どころか仮面夫婦も同然の生活してきたんだ!離婚だ!」
神「いい加減になさいッッ!!!」
織姫&彦星「ひぇっ…」
神「私は遠い遠い昔に貴方達が恋にかまけて仕事をしないので離れ離れにしましたが…どうやら間違い、いや、期間が長過ぎたらしいですね…」
織姫&彦星「…」
神「かれこれ100年も前から七夕には怒鳴り合い…もう聞いているのも疲れました…貴方達もいい大人になった様だと見受けられるので、もうずっと一緒に居られるようにしましょう…」
織姫&彦星「えっ!?」
織姫従者&彦星従者「ほっ!?」
神「なんです?」
織姫&彦星「いやいや!なにもございません!」
神「そうですか…それではもうこれから行き来は自由ですよ。ではもう1度寝てきますね。オヤスミ」
彦星「えっと…おい従者よ!向こうに渡る準備をしろ!」
織姫「えっ…?」
彦星「せっかく神が認めてくれたんだ!俺は今最高にテンションが上がっている!今すぐ行くぞ!!」
織姫「…よくわからない人…」
織姫従者「きっと年に1回しか会えないので拗ねてたんじゃありませんか?」
織姫「まだまだ子供ね…」
……
彦星「織姫!!ホテル行こう!」
織姫「バカなの!?久しぶりに会って早々の発言がソレってどうなのよ!?」
彦星「いやぁ…どうも上がってしまっていてね…綺麗になったな、織姫」
織姫「アナタは少し…いえ、だいぶ太ってしまったわね…フフ」
彦星「わ、笑うな!」
織姫「大方、向こうでお肉の暴食、お酒の暴飲でもしていたんでしょう?」
彦星「うっ…」
彦星従者「私は何度も止めてるんですけどね…その都度腕を折られるので諦めました…」
織姫従者「言っちゃ悪いけどなんでソレで従者やめないのよ…」
織姫「まぁ、これからは一緒に住むのだから痩せるわよ。」
彦星「一体何をされるというのか…」
織姫「なに、健康的なご飯を毎日作るだけのことよ♪」
彦星「…サンキュ」
彼等はまた一緒に住むことになった。これからどうなるかはまたのお楽しみ♪