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「そこまでにして頂けますか。」


「ソーヤ!」

そうです、ここにはソーヤがいました。

落ち着きましょう、私‼︎


「からかわないで下さい。」

ソーヤの背に隠されながら、きちんと伝えました。


「からかってなど、いないんだけど…。ごめんね?」

眉尻を下げられて、

「フィリィーに久々に会えて嬉しくなってしまったんだよ。」

悲しく言われます。


「人違いではありませんか。」


「まさか。私は巫女を見間違えたりなどしないよ。」


「私が巫女だったのは幼少の頃でしたわ。」


何百の巫女と何千の見習いがいる中、祭司長様なんて位が高すぎて遠目から拝見した事があるだけでしたのよ?


もしや千里眼⁉︎


取り留めもなく考えていると


「リディード様、馬車の用意が出来ております。」

傅く神官の方。


いつの間にか車寄せまで来ていた私は言葉を失いました‼︎


見事な6頭立ての白銀の馬車には神紋の刻印が。

絶対的な加護を持ち目立つ事この上ありませんが

世界で一番安全な馬車とも言えるでしょう。

本神殿の尊いお方が乗られるものは違うのね‼︎

拝見出来ただけでも眼福ですわ。


現実を見まして私の頭も冷えて参りました。


「ソーヤ、私達はリトレイアの馬車で向かいましょう。」

なぜか元巫女だということで私に目を掛けて頂いていますが私は自国の王子に婚約破棄され、あまつさえ間接的にもリュファス祭を中断させてしまいましたもの。王からお叱りを賜っても仕方がないでしょう。

申し開きもございませんわ。


「では祭司長様。私達はこれで。」


「⁉︎」


「何言ってるの?貴女も乗るんだよ。」

爽やかな笑顔で私の腰を抱き寄せ馬車の中へーーーー‼︎⁉︎」


「いけませんわ‼︎ この馬車は私達が乗っていいものでは!祭司長様!この国の王でさえ乗れません。国際問題になりますわっ。」


ソーヤは無表情で私達を見つめています。

ソーヤ‼︎ そこは止める所でしょう⁉︎

「ソ」

「ソーヤは騎乗で付いてくるといい。乗れる、かな?」

「っ‼︎」

悪い顔されていますよ!祭司長様‼︎


用意された馬はハルトランド産でしょうか。

乾いた砂漠を征する騎馬民族が乗りこなすと言われている決して只人には懐かないと言われている軍神馬。


隣国の神兵長ぐらいですよ。純粋なハルトランド種を乗りこなせるのは。

「っ。ソーヤ‼︎ 乗らなくていいわ。私も降りてリトレイアの馬車を」


言い終わらない内に馬車は出ます。


「待って下さい ! ソーヤ‼︎」


神馬に振り落とされるなんて、普通の馬と比べても膂力も違います。不名誉、不謹慎以前に大怪我してしまいますわ。


「大丈夫ですよ?貴女の従者を信じてあげて下さい。」


遠目になるソーヤは溜め息を吐き、アルハルト種に跨がりましたわ。華麗な手綱捌きで私達の馬車に並走します。

「フィリア。大丈夫でしたでしょう。貴女の従者は優秀ですね。」


……。知りませんでした。

ソーヤがあんなにも自然に軍馬をのりこなすなんて‼︎未知数ですのね、ソーヤ!


関心しながらもホッとした私は固くなっていた身体の力を抜きました。


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