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眼前に煌めく銀糸。
艶めく陶磁器の肌の白さに、けぶる睫毛に隠された
紫水晶の如き瞳。
世界で唯一、彼の人にだけ許される天上色を身に纏い優雅に洗練された所作であでやかに笑むのは
隣国の祭司長様。
ホール中のそこかしこで淑女の悲鳴が響き渡っています。
はい、美しさの破壊力がたまらないですわ‼︎‼︎
ソーヤは相変わらず、剣を構え周りを牽制していますが…
ソーヤの無表情は鉄面皮ですわね。
動揺のなさが羨ましいです。
私の高鳴る心臓の音は恋ではなく、
女としての敗北感でしょうか。
矜持も何も置いておきますね。
「腫れていますね。痛かったでしょう。」
悲しげに柳眉を下げ、銀聖色の癒しの光で
私を包んで下さいます。
カールバンの馬鹿力でついた痣は取れ、肩の痛みもなくなります。
遅ればせながら淑女の礼を取り
「祭司長様、手ずからありがとうございます。申し遅れましたが私はフィルトーレ・ダリアース・リトレイアでございます。」
「フィリィー、もう名前では呼んでくれないのかな?」
「は??」
いやっ‼︎切な気な顔をされても困りますよ⁉︎
ソーヤそんな目で見ないで下さい。
私は無実です。