⒊
「ちっ。」
バカ王子は舌打ちをすると
「衛兵!フィリアを捕らえよ!王位を継ぐ私と第一妃の神聖な儀式を中断させた重い罪があるっ。」
衛兵は動きませんよ。
自国の王子より遙かに格上の祭司長様がいらっしゃいますからね。
動かない衛兵に痺れを切らした王子は取り巻きに
命令をします。
取り巻きはあくまでも王子の甘い汁を吸いたくて
主従関係にいる。
ルードの登場に驚いたものの、ここは自国の時期
王に従うべく私を取り巻く。
動こうとしたソーヤを目で止めて軍部の長の息子に
笑顔で問う。
「まぁ。物騒ですこと。学内での帯剣は許されていませんわよ。」
「王を守る場合は特例が働くのさ。」
カールバン・ドゥラ・ゼウ
赤茶の短髪に200cmはあるだろう大男。
そこそこに見られる顔ではあるけど…。
「はぁ。」
大仰にため息が出ますわ。
「フィルトーレ・ダリアース・リトレイア公爵令嬢
罪人らしく跪けよ。」
「王子の婚姻を嫉妬に絡み、無様に邪魔したんだ。
元公爵令嬢かもなぁ。」
「爵位が剥奪されれば…その高慢な顔も見る影もなくなるか。」
あらあら。
私たら、とんでもない言われ様。
好かれていないとは思っていましたわよ?
にしても悪意の塊すぎますわね…。
「謂れなき罪ですわ。」
神聖な光を纏い断言しますよ。
流されてはいけません。
仮にも取り巻きの彼らの親は一国を支える臣ですからね。
「何の仕掛けだ。武装を解け!!」
威丈高にカルバーンが私の肩を掴んで揺すります。
ソーヤが冷徹な目をしていますよ。
ルード…は、花も綻ぶ様な笑顔…あらやだ。
背筋がゾクリとするのは、きっと私の気のせいね。