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29.招聘⁉︎ 受けて立ちましてよ Ⅳ

張り詰めた空気の中、一斉に不審な目付きを貴族達にされる。


誰もが公爵家の凋落は見たいものかしら。


明らかに脱線してるのだけどーー。


誰も止めないのね。

厳粛と噂の審問官も静観してる。


仕組まれた?

誰に?アランド王子…いいえ、王の許可が取れなければ高等審問は制せない。


これはーー思ったよりも


「申し開きもないのか」

居丈高に王子が仰りますが


「ございませんわ。私は王子の妃であるルチェル様に臣下として恭順の意を示させて頂いておりますわ。祭司長様が誓約される前に王子はリュファス・ダルトをされて、至らない私に真の愛を示されましたわ。そこへ来て隣国のルードである祭司長様の誓約。お二人は神がお認めになった聖なるー」


「口上は必要ないぞ。フィルトーレ、王族を侮辱したお前は罪を悔いなければならん。審問官、続けよ」


申し合わせた様に審問官は口を開かれます。

「フィルトーレ嬢、貴女はルードの馬車に同乗されましたな」


ーーっ。バレてますね?ごくっ。やだ、唾を嚥下します。これぐらいで動揺しては、ソーヤに何か言われてしまうわ。


「元巫女とはいえ、貴女は今は只の人であり、王族さえ乗る事が違わぬ隣国の馬車に何を思って同乗されたのか」

厳しい口調で問われます。


「私はー 」


「聞いていられませんわ。小娘を寄ってたかって大の大人が何をされているのか… 」


「サディア伯爵夫人の発言は許されておりません。お静かに」


サディア伯爵夫人は扇で口許を隠しつつも、眉尻を下げられ、私を心配そうに見つめられています。


お母様のご友人にも、ご迷惑をお掛けしていますね。


「申し開きもございませんわ。不敬だと断りつつも、私は流されてしまったのでしょう。王族の方々には臥してお詫びを申し上げます 」


事実は変えられないから、真摯に謝ることしか出来ないわ。


「不敬を認めるか」


王からの言葉に恭順を示します。


「はい」


「他の者も言いたい事はあろう。フィルトーレ嬢は身分を弁えぬ行動をし、我が国に泥を塗った。だが、ルードの重誓約は時として過酷になるのも事実。王子の元婚約者としても我が国に貢献したと言えよう。ーよって、配流はいるの塔に3ケ月の禁錮とする。日々、神に祈り、清貧な生活を行い、また公爵令嬢として高みに登ればよい」


これは、またーー。

事実上の廃嫡にせよ、ですわよね?


配流の塔は貴族の罪人が入れられる所。

出た所で、もう公爵令嬢は名乗れない。

貴族社会への復帰も学園へも立ち入り不可能。


ドルセンでは受け入れられない立場。


王に切られてしまいましたね、私。


「それだけですか⁉︎ 」


「私とルチェルがどれだけ冒涜され、心身共に傷付き痛みを伴ったか‼︎ 」


激昂する王子に


「元婚約者としての国への貢献度は考えられぬか」


王は静かに問われます。


私のしてきた事も無駄ではなかったのですね。


「そんなものっ。独り善がりで掻き回され、私や側近は迷惑しかこうむっておりません。居丈高で身分を嵩にきてルチェルに行った数々の非常な仕打ち。許せるものではありません」


王子には、何も伝わっていませんね、残念です。


「今、この場は隣国のルードが結ばれた誓詞に関しての事。ルードの馬車に同乗した事への事実確認の場である。控えよ」


尚も言い募ろうとする、王子を厳しい目線で黙らせ王は大臣へと目線を送る。


「フィルトーレ・ダリアース・リトレイア嬢を配流の塔へ移送する。衛兵‼︎ 」


憐憫のお顔のお父様、お母様のお仲間の貴族達。

不満げな対立貴族達。

憎悪に歪む王子と涙を湛えるルチェル様。


ここに祭司長様がいらっしゃらなくて良かったです。

祭司長様の発言は最上とされるので、ドルセンの国法さえ覆してしまいます。

内政干渉は、本来してはならないもの。


私は粛々とお受けしましょう。


俯かず、堂々と淑女の礼をし周りを衛兵に囲まれましても矜持を失わず私は笑顔でその場を去ります。






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