26.招聘⁉︎ 受けて立ちましてよ
「高等審問ですって⁉︎ それは、また、大げさな……」
空いた口が塞がりません。
一貴族の令嬢に、また、思い切った事を。
主だった貴族達の前で裁かれるのですか。
いや、驚くべき事なんですが、流石にもう、ね?
額にじっとり汗が滲みますが
だけど、大丈夫。破棄に至った事態を国王に申し開きますよ。
「そう。それでソーヤは王宮へ行ったのね。不甲斐ない主でごめんなさい」
「いえ、フィリア様が望まれるならば、ルードがリトレイア公爵家側に立つと」
「そんな、益々大げさになるだけだわ。それに確執は生みたくなくてよ。リトレイア家は王家に恭順を示すだけ。破棄されても変わらない。普遍の思いを伝えるわ」
「すっきりとされたお顔ですね」
「リトレイア公爵令嬢の本領発揮するわよ。意地悪な貴族達には負けなくてよ」
「それでこそ、フィリア様です」
ソーヤが柔らかく笑んでくれました。
「フィリア様」
「何?まだ言い足りない事があるの?」
もう、驚かないわよ。
「王城に不穏な動きありです」
「そう。心に留めて置くわ」
今度は私が優しい笑みを返したわ。
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審問当日ーー
屋敷内はピリピリしています。
リナは勿論、沈着なロダンまで触れれば切れそうな圧を発していますもの。
当事者の私としては、冷静にならざるおえないわね。
ここからは、私の戦場ですわ。
お父様は大事にならない様、動いてくれていたみたいですが、王の意思は固く取りなせず。
お母様は反リトレイアの貴族や中立貴族に根回しをして下さったみたいですわ。
王子の婚約破棄宣言から隣国の祭司長様の祝詞に誓約……とうとう国の重要機関に招聘されてしまって……国内での私の結婚は絶望的ね。
学院は卒業出来るかしら。
いえ、取り敢えずは、目先の政敵ね。
今日は瞳に合わせた蒼のドレスを選びました。
足元にいくにつれ、淡い色合いになり袖回りと裾には金糸で縫われた幾重ものレースが華美ではないものの凛とした印象を受けるものに。
普段、流している黄金の髪はアップにし、控えめな意匠の真珠の髪留めをします。
派手すぎず、王の御前でも失礼のない様にしました。
「フィリア様、迎えの馬車が参りました」
背筋を伸ばし颯爽と歩き、心配する屋敷の者達に笑いかけながら乗り込みます。
決戦の時ですーー。




