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はい出ました!自国の王子のお馬鹿発言!
「私はリディードと申します。隣国では祭司長をしています。」
ホールがどよめく。
隣国は神の血脈を取り込む、この世界ただ一つの本神殿を持つ。
そこの祭司でこちらの王より上の権力を持つ恐ろしさ。
その祭司長と言えば、直に会うことなど生きていて叶わない位に神聖なお立場。
水を打った様に静かになり、王子の取り巻き達も押し黙る。
一部の敬虔な貴族と祭司達が跪く。
私は立ったままよ。
「?祭司なら隣国だろうと問題はなかろう。
祝詞を」
寝言は寝て言え!バカ王子‼︎
ホールの人間全員が心の中で総ツッコミをする。
流麗な祝詞が紡ぎ出される。
神聖な光が紡ぎ出され王子達を包み刻印に幾重にも科される制約。
ごくっ
あらやだ。私たら最早、他人事と言えど冷や汗が止まらないわ。
何あの重制約。
バカだけど王族だから耐えられているのか鈍いのか。
ルチェルは最早、運命共同体だから辛くないのね。
というか…飛ばしすぎではありませんこと?
「そこでもうおやめになったら?」
祭司長の祝詞を止める。
ざわっ
あまりの不敬にホールが波打つ程どよめく。
私を射殺さんばかりの王子の目。
ルチェルも王子の陰で睨んでいる。
「くすっ。王子とルチェル姫の誓いは成されました。生涯を共に。死して黄泉の旅路も共に。生まれ変わっても共に居続けて下さい。あなた方にルードの私から祝福を。」
くっルード!それは最早呪いと言うのよ。
リディードの瞳は会場内にいる私を捉え笑む。
満足そうに。