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18.知恵熱なんて、何年振りかしら ⁉︎ ーフィリア視点ー

ソーヤにベッドに寝かせられて、私は熱に浮かされたまま子供の頃を思い出していましたわ。


あれはーー初めて祈りに加護が顕現けんげんした時ーー


「フィリアがお祈りしたら、光る粒子が見えたわ ‼︎ 」

嬉しそうに仰り、私を抱き締めるお母様。


「私のフィリィー、自慢の娘 ‼︎ いいかい ? これは

とても名誉な事なんだよ。」

破顔はがんするお父様に力強く撫でられる。


この頃の私の側には、まだソーヤは居なくて。


「我が国ドルセニス、それも公爵家から巫女が出るとは ‼︎ 」


「旦那様、おめでとうございます ‼︎ 」


「リトレイア公爵家に彼の神の啓示が、立ったとは ‼︎ 」


「本神殿に迎え入れられる等……ドルセニス建国以来ではないかっ。」


ドルセン王も驚愕し、還俗したあかつきには我が息子アランドの国妃として迎えようぞ。とか何とかのたまったそうですわよ。


本人の了解も得ずだったそうで、初めてお会いしてキレたアランド様に池に落とされたのも、良い思い出かしら。


隣国ーーリュファス・リュースーー

大陸を覇する偉大なる制約と誓約の神。

その名を抱く事が許された唯一の神聖国家。


民達は敬虔けいけんなリュファス神民。


国の中央に巨大な白亜の本神殿を構え、国としての機能を考えた時、人としてリュファスの神威かむいをその身にまとい祭り事〈まつりごと〉を一手に担うのは祭司長ルードであるリディード。


おごそかな神聖地には軍神兵も存在する。


神兵長がルードのいちの側近で影の様に付き従っているという。


強大な地に、人々は憧れ止まないわ。

私達の国にも神殿はあるけれど、王家に付随してしまい、独自の権限はないに等しいもの。


貴族達が箔付けに、大金と共に神殿に娘を遣り、神殿が巫女として迎え入れる。


王立学院に入学する頃には巫女達は還俗げんぞくする。

と言うのも、本神殿であっても幼少時に巫女としての祈りの力が發言はつげんしても物心付くに連れ、力は薄れ霧散してしまう。


それが自然のことわりだから。


私の意思なんて、ないに等しく親と国にまつり上げられ隣国に送られたわ。


なぜ、離れなければならなかったの ?

リュファス神にはドルセニスに居ていても、祈れるのに。


親に笑顔で送られ

「私の誇りだ。」

なんて言われたら

「お任せ下さい。お父様。本神殿の巫女として神事をまっとう致しますわ。」


ね ? 優雅に笑うしかなくなるでしょ。

嫌よ。行きたくない。

お父様、お母様のお側を離れたくないの。なんて

とても言えない。


憮然ぶぜんとしたまま、隣国に向かったわ。


巫女見習いとして、戒律の厳しいならいの神殿へ。

貴族でも何でもない一人のフィルトーレとして。



取り敢えず、聖性がなくなるまでとことん祈ればいいのよね ?





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