12.ルード側近ーカヤ、ラズの会話ー
「不快な男です。」
開口一番にリディードの側近、カヤは口にする。
招かれた王宮内での言葉に、同じく側近で近習も勤めるラズは驚く。
「わからんでもないが、口を慎め。あんなんでも
この国の王だ。」
最早、どっちが失礼なのかは判断に苦しむ所である
「なぜ、あの男が上座に座り、リディード様が下座に立たされるのですか⁉︎」
激高するのは、男装の女性である先程のカヤだ。
聖戦士の双子の弟を亡くし名前を継いだ。
祭司位を持ち、ルードを盲目的に盲信している。
「国が違えば、信望する神は同じでもその思想は変わってくる。我々を神殿ではなく王宮に泊まらせるのは理解し難いがな。」
「思想が違えど、分を弁えぬ愚かな王など居て何になると言うのでしょう。」
「はっはっはっ。衣着せぬ言い方はお前の弟にそっくりだ‼︎」
「笑いごとではありません‼︎」
「はっ。冗談の通じない所も似てるな……待て、待て冗談だ‼︎抜刀するなよ。我々は聖職者なんだ。」
「……。」
「それに、この国はリディード様が想いを寄せる方の御生れになった国だ。それなりの敬意は持てよ?」
「…………ですよ。」
「ん?」
「それこそ、何の意味があるんですか。」
「まぁ、心で思っても、態度には出すなよ。我々はこの国に迎え入れられ歓待を受けている。リディード様に恥をかかす様な事は……。」
「しない!しないと言っている。リディード様をお迎えに行くんだろう?早く行くぞ‼︎」
竹を割った様な性格も嫌いじゃないぞ。とは、ラズも口に出しては言わなかった。
誰もが、気の進まぬ宴に行くべき足は重い。




