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婚約破棄ものが書きたくなりました。
初心者です。優しい目で見てやって下さい。
「フィルトーレ・ダリアース・リトレイア‼︎
お前との婚約関係を破棄する‼︎‼︎」
端正な顔立ち、美しくも優しい白皙の美貌に眉間に皺を寄せ吐き捨てるかの如く全校生徒の集まるホールで宣言される。
この国の第一王位継承者アランド・フリー・ドルセンに平民から男爵令嬢に成り上がったルチェル・リモーネが絡み付き壇上に登場。
神聖なるリュファス祭で神々に祈ろうとした祭司を退けての傍若無人な振る舞い。
そしてあろうことか独断での婚約破棄宣言。
全校生徒の驚愕の視線が集中する中、私は顔色も変えず王子とルチェルを見つめる。
この場を物にしたと勘違いする高揚した王子は尚も言葉を続ける。
「お前との婚約を破棄しルチェルと私は婚約をする‼︎‼︎」
ごくっ。
生唾が知らず出ました。
衆目の中で私、辱められていますよね?これ。
でも、でも嘘はダメですよね。
どうしても止まらないのです。この胸の高まり。
頬も紅潮してきます。
「何とか言ったら「王子。」」
王子の言葉に被せました、私。
「王子。諮らずも本日は神聖リュファス祭。彼の神は常に真実を求められます。」
私は以前、巫女をしていましたからね。
一瞬で王子への注目を私へと変えました。
呼吸法と抑揚にコツがあります。
演説は得意だったりします。
巫女だった時を知るものは当時の神殿長と家族位で知られていませんが。
纏う空気も変えてみましょう。
悪意は跳ね除けますよ。
神聖なる光を纏います。
眩しそうな王子に
「王子、私との婚約破棄が真実だと言うなら誓約を!
リュファス・ダルトの誓いを求めます‼︎‼︎」
「なっ‼︎⁇?」
「お前ふざけるなっ‼︎!」
「彼の神の誓約は制約だ!重いぞ‼︎!」
「王子、やめて下さい。」
王子の取り巻きが口々に異を唱える。
先生や生徒が息を飲み祭司は顔色を変えながらも見守るかの様に押し黙る。
「アランド様…やめて下さい。いいのです。私はあなたの側でこうして、いら、れるだけで…。」
透き通る様なピンク色の瞳から綺麗な涙が溢れる。
ルチェルが儚げに笑む。
「っ。」
間近で見る王子が息を飲みルチェルを抱き寄せ
「誓おう。」
発言し私を見据えた。
「おうっ…」
「リュファスの誓い。彼の神に永久に捧げん。我、アランド・フリー・ドルセンはフィルトーレ・ダリアース・リトレイアとの婚約を破棄しルチェル・リモーネを婚約者とし真実にして神聖なるリュファスに誓約す‼︎‼︎」
王子がいい終わらない内にゴウッと一陣の豪風が
ホール内を吹き抜け王子の右手首とルチェルの左手首に刻印が施される。
刻印は誓約が成されないと生涯消えない。
消えなければ烙印として残る。
烙印には二種類。
成そうにも相手が不意の事故で亡くなってしまった
場合は喪に服す黒に。
生半可に成せなければ烙印は成長する。
消す事は出来ない。
あらら…言ってしまったものの…やっちゃいましたね王子!
成長しないといいですけど成長する烙印持ちは王位継承出来ませんよ?
「王子…私は生涯かけて貴方を守り尽くしますわ。
この刻印にかけましても。」
キラキラと瞳を輝かせルチェルは王子に跪く。
「ルチェル…私は愛しい者と真の愛を交わしたのだ。祭司!」
「祭司、今ここで、ルチェルと婚姻の誓約をあげる。祝詞を‼︎!」
王子、突き抜けてらっしゃいます…。
場の皆さんが置いてきぼりに…。
「フィリア様、お口が笑っていますよ。」
従者のソーヤに軽く耳打ちされる。
アッシュグレイの髪に冷たさを醸し出す水色の水湖の瞳。
「っ。」
笑わないでか!
扇で隠して私は口角を上げたわ。
バカだバカだと思っていたけれど、ここまでバカだとは。
事の重さを知る祭司は動かない。
「私がしますよ。」
人波を掻き分けて壇上に上がる美青年。
腰まである銀髪を一つに編み込み紫水晶の瞳を持ち極上に笑む。
あら、あの方は隣国の…
いらしてたのね。
「なんだお前は?」