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NOAH -ノア-  作者: 孝乃 (編集中)
第1章『現実世界にて』
7/26

Lood..005 始まる終わり(2)

 ハっと目を見開き立ち上がる夏輝(なつき)愛莉(あいり)も同様の表情で立ち上がり、互いに視線を合わせる。



愛莉(あいり)乃愛(のあ)は…乃愛(のあ)は今どこにいるんだ!?」

「あたしの部屋に――…」



『部屋』の単語だけで、突然走り出す夏輝(なつき)



「ちょっと夏輝(なつき)!!待ってカギ――…ちょっと!」



愛莉(あいり)は部屋のカギとなる、大次郎(だいじろう)に投げ渡していた社員証を取り、走る夏輝(なつき)の後を追う。慌て大次郎(だいじろう)も追って走り出す。


突然管理ルームを走り出ていく3人の背を見る(ひろ)は、「何だ?」っと首を傾げると――…瞬間、何かを閃いたかのように机を叩き立ち上がる。そして3人が走り去った方とは反対方向に駆け出していった。





◆◆◆――…





 走る夏輝(なつき)が、愛莉(あいり)の部屋となる『Sub(サブ) Manager(マネージャー) Loom(ルーム)』と書かれた扉の前に到着。走る勢いそのままに扉にとびつき、黒い鉄製の両スライドで取手の無い扉を叩く。



乃愛(のあ)!!おい乃愛(のあ)!!」



自動ドアにも似た扉を何度も叩き、左右の扉の接地面の隙間に指を入れ、無理矢理こじ開けようともする夏輝(なつき)


そこに愛莉(あいり)大次郎(だいじろう)も追いつき、扉の横にあるセンサーに愛莉(あいり)が自分の社員証を当てる。すると扉はプシュ!っと音を発てて開いた。スライドと同時に、倒れるように室内に駆け込む夏輝(なつき)


室内は約20畳程の部屋で、大きなデスクと真っ白の革製のソファー。デスクにはファッション系の雑誌や資料が散乱しており、室内には数体のマネキンが、ファンタジー風の衣装を着て立っている。これはゲーム内の衣装や装備品のデザインを愛莉(あいり)が担当しているからだ。初めて入った大次郎(だいじろう)は、数体のマネキンに驚きの様子。


そしてその室内のソファーの上…乃愛(のあ)が頭にピンクのNOAH(ノア)を装着した状態で、キャラクターものの毛布をかけて横たわっていた。



乃愛(のあ)!!」



横たわる乃愛(のあ)に駆け寄る夏輝(なつき)。肩をそっと掴み、その顔を覗き込むと……黒のスモークがかるバイザーにより目元は確認出来ないが、乃愛(のあ)は眠ったように浅い呼吸を静かに繰り返している。これはログインによる強制睡眠からのもの。



「の…乃愛(のあ)…」

「…スー……スー…」



軽く体を揺らし、呼びかけるも返事は無い。


NOAH(ノア)の額部分には、ユーザーログイン状況を表示する液晶画面があり、横には電源を現す小さなランプが付いている。ログイン状態ならば緑のランプ。ログインはしていないが、電源がONの待機状態なら赤いランプが点灯している。そのランプを確認する為、震える手でそっと乃愛(のあ)の前髪を掻き分ける夏輝(なつき)


すると――…見えたのは緑のランプ。しかもその緑のランプは点いては消え、点いては消えの点滅を繰り返していた。これはログイン状態である事の証明。しかも現実世界とゲーム世界を繋ぐ信号を見失った状態であるという事を意味していた。



「の…乃愛(のあ)…嘘だろ…」



自分の開発したゲームにより、体と意識を切り離された妹を、震えた声で強く抱きしめる。



夏輝(なつき)…」



身を震わす夏輝(なつき)の肩に、そっと手を置く大次郎(だいじろう)



「な、なぁ…今ここに乃愛(のあ)ちゃんはいるんだ。ならこのNOAH(ノア)調べりゃ、助け出せんじゃねぇのかよ?」

「………」

「おい夏輝(なつき)

「…それは無理よ」



無言の夏輝(なつき)に代わり、その問いに答えたのは愛莉(あいり)



「え…何でだよ?」

「IDやパスワードの情報は、NOAH(ノア)の内側…こめかみと接地する所に入れるメモリーカードに入っているの。器具の外側から調べる事は出来ない上、強制的に取り外した瞬間…2度と意識が戻らなくだけ…」

「マジかよ…」

「カプセルNOAH(ノア)なら、夏輝(なつき)(ひろ)の2人で外部からIDを調べる事も出来た……なのにあたし…カプセルNOAH(ノア)のセッティングが面倒だからって、自分のNOAH(ノア)でログインさせちゃった…」



俯き、握りしめた拳に肩を震わせる愛莉(あいり)。すると夏輝(なつき)はゆっくりとふらつきながらも立ち上がる。



夏輝(なつき)…あの…その――…」



っと、言いかけの愛莉(あいり)の言葉を聞かずして、その横を無言で通り過ぎる夏輝(なつき)



「…夏輝(なつき)…」

「………」

夏輝(なつき)、待って!」



振り返る事なく出口に向かっていく夏輝(なつき)の腕を、愛莉(あいり)が掴んだ。しかし夏輝(なつき)は振り返らず、あいかわらずの無言。



「なつ――…」

「急ごう。時間が無い…」



弱々しくも感情無き声を残し、愛莉(あいり)の手をすり抜けていく掴む腕。その腕は、内側から扉を開くボタンを押すものとなり、ゆっくりと外に出ていく夏輝(なつき)の体。


外に夏輝(なつき)が出ると共に閉まる扉。室内に残る大次郎(だいじろう)の前で、離れた手をそのままに、呆然と立ち尽くす愛莉(あいり)



「…あたしの…せいだ……あたしの…」



小さく呟き、膝から崩れ落ちる愛莉(あいり)。するとその頭を、大次郎(だいじろう)の振り抜く手がバシ!っと叩く。



「痛っ!」

「何ヘコんでんだ、らしくねぇ」

「『らしく』って…だってあたしのせいで乃愛(のあ)ちゃんが…」

「お前のせい?…まぁ俺はバカだから、単純な考えしか出来ねぇ。だからこれを『事故』って言っていいかわかんねぇけど、お前が悪い訳じゃねぇと俺は思うけどな」

「何言ってるのよ、悪いのはあたしが――…」

「お前がホントに悪いなら、あの夏輝(なつき)でもさすがに怒鳴るだろうよ。でも夏輝(アイツ)はお前の事責めたか?」

「………」

「…いっそ責められた方が楽ってか?」



少し黙り、小さく頷く愛莉(あいり)



夏輝(なつき)だってそうなんじゃねぇの…いっそお前を責めた方が楽、ってな」

「………」

「それに誰が悪いとか、今はそういう事とかじゃないだろ?」

「…わかってる…わかってるけど…」

「あ~あっ!いつもの勝ち気なお前はどこ行った?まだ助からないって訳じゃないんだろ?息だってしてる」

「でも時間が…」

「可能性が0じゃないなら諦めんな。それに気持ちがモヤモヤしてんなら、早く夏輝(なつき)追っかけて、ちゃんと謝ってこい。んで1発ひっぱたかれてこい!」



っと言う大次郎(だいじろう)は、愛莉(あいり)の顔をバシン!っと音を鳴らして挟む。



「ふぎゅ」

「時間が()ぇのは事実だろ。ヘコんでる時間も惜しい…行こうぜ、愛莉(あいり)

「………」

夏輝(なつき)愛莉(あいり)、お前らみたいな天才が2人もいるんだ。絶対なんとかなる。だから行くぞ」

「……うん」



大きく頷き立ち上がる愛莉(あいり)。すぐさま走り出し、自分の部屋を飛び出した。


すると前方に、トボトボとふらつき歩く夏輝(なつき)の背中が見えた。まさに絶望と言う名がふさわしい顔つきをした夏輝(なつき)の横を、愛莉(あいり)が走り抜け、数歩先で振り返る。



夏輝(なつき)乃愛(のあ)ちゃんの事、あたしが絶対助け出す。そしたら…その時ちゃんと謝る。アンタと乃愛(のあ)ちゃんに謝るから…許してくれるまで謝る」

「………」

「…絶対助け出すから」



っとだけ言って走り出す愛莉(あいり)の背を、ただ無言で見つめる夏輝(なつき)。するとその後ろから走り抜ける大次郎(だいじろう)が、夏輝(なつき)の頭を叩いていく。



「何ちんたら歩いてんだボケ男!乃愛(のあ)ちゃんだけじゃねぇ、18万人救い出すんだろ!」

「………」

「走れバカ!!おいてくぞ!!」

「………」

「たった1人の妹だろ!兄貴だったら守り抜け!!」

「っ…!!」



叱咤する大次郎(だいじろう)の言葉に、父との約束を思い出す……ハっと我に返る夏輝(なつき)は、離れていく2人の背中を見つめ、自分の頬を叩いた。そして大きく頷き、2人を追うように走り出す。


すると数秒後、先を行く愛莉(あいり)が曲がり角を曲がった瞬間…「きゃ!」っと言う悲鳴と共に、床にしりもちをつくように倒れ込む。


そこに追ってきた2人が「大丈夫か!?」っと駆け寄ってくる。すると転んだお尻を擦る愛莉(あいり)の向かい側に、同じようにしりもちをついた女性が1人。スーツ姿でも、白衣を着ている訳でもない。ちょっと派手めな服装をした金髪ロングヘアーの女性。



「いたたた…ちょっと何なのよあなた…」

「ご、ごめんなさい…道に迷っちゃって…」



愛莉(あいり)とぶつかった女性を見て、「誰?」っと夏輝(なつき)を見る大次郎(だいじろう)だが、その夏輝(なつき)自身も見知らぬ女性。ただ「さぁ…」っと首を傾げるだけ。すると愛莉(あいり)もようやく相手を確認。



「『道に迷った』って…?」

飛依斗(ひいと)君に連れてこられたんですけど、出口がわからなくて…」

飛依斗(ひいと)にって…え?あなた誰なの?」

「え…あの…私――…」





◆◆◆――…




 場所は戻り、管理ルーム内――…


突如勢いよく開く扉と共に、愛莉(あいり)夏輝(なつき)大次郎(だいじろう)と続き管理ルームに駆け込んできた。そして最後に入室したのは、愛莉(あいり)とぶつかったあの女性。


怒りを露にしたように、息遣いの荒い愛莉(あいり)は辺りを見渡し、管理ルーム出入口付近の椅子に座る飛依斗(ひいと)に目を止める。飛依斗(ひいと)は腕を組み、両足を広げて「グーグー」とイビキをかいて寝ている様子。


その飛依斗(ひいと)に向かい、踏み出す足音を響かせて迫っていく愛莉(あいり)



飛依斗(ひいと)…この野郎ォ!!」



怒声と共に飛依斗(ひいと)の胸ぐらを掴み上げ、その身を床に叩き落とした。その勢いで飛依斗(ひいと)は後頭部を強打。衝撃に飛び起きる飛依斗(ひいと)の上に、馬乗りになる愛莉(あいり)が再び胸ぐらを掴み上げる。



「このバカ野郎!!お前がメインコンピュータ壊したのかァ!!」

「おい愛莉(あいり)よせ!」



馬乗りになる愛莉(あいり)の肩を掴む大次郎(だいじろう)。しかし愛莉(あいり)はその手を弾き、飛依斗(ひいと)の顔や頭をめちゃくちゃに平手で叩き始める。



「ヤメろ愛莉(あいり)!」

「うるさい!!コイツが…コイツがあたしらの夢を壊したのよ!!コイツが…コイツがァ!!」

「…――ってぇなコラァ!!」



愛莉(あいり)の平手を弾きながら、飛依斗(ひいと)の右手が愛莉(あいり)の髪を掴みとる。そしてその髪ごと愛莉(あいり)を投げ飛ばす。悲鳴と共に転がる愛莉(あいり)に、起き上がる飛依斗(ひいと)は足蹴を放つ。



「何しやがんだこのクソ女!!」



腹部を蹴り、蹴った足で愛莉(あいり)の頭を飛依斗(ひいと)が踏みつけた――…瞬間、飛依斗(ひいと)の掴みかかるのは夏輝(なつき)



「っ――…今度はテメェか、もやし室長!!」



飛依斗(ひいと)は逆に夏輝(なつき)を掴み返すと、その顔を殴り飛ばす。高校時代にボクシングで全国1位となった事のある飛依斗(ひいと)の1撃に、机にしか向かっていなかった夏輝(なつき)の体は吹き飛んだ。


すると180センチを少し越えた飛依斗(ひいと)の更に上…上背、体格にも勝る大次郎(だいじろう)の手が、飛依斗(ひいと)の胸ぐらを掴み上げた。



「…っだよハゲ」

「テメェ…俺の親友(ダチ)らに手ぇ出しやがって…」

「ハっ、先に手ぇ出したのそっちのクソ女だろうがよ」

「クソはテメェの方だろ。女に手ぇ上げる方がな」

「なら…自分を産んでくれた母親を殺したアンタは、いったい何なんだよ?」

「ッ…!!」

「あ~、人殺しってのは…ただのゴミか」



鼻で笑い、まさに『ゴミ』を見るような目で大次郎(だいじろう)見る飛依斗(ひいと)



「っ…テメェ…!!」

「…――どいてッ!!」



握る拳を振り上げようとした大次郎(だいじろう)の体を押し退け、愛莉(あいり)飛依斗(ひいと)に迫り、その頬を平手で叩く。



「何も知らないくせに、人の過去に口出しすんじゃないわよ!!」

「いちいちうるせぇ女だなァ!!」



っと、愛莉(あいり)を殴り返そうとした手を大次郎(だいじろう)が止め、飛依斗(ひいと)の体を突き飛ばす。


突き離された飛依斗(ひいと)は、舌打ちと共に愛莉(あいり)大次郎(だいじろう)を睨み付ける。そして、殴られた頬を押さえながら起き上がる夏輝(なつき)に目線を向け、もう1人の存在にようやく気づく。



「っ!お前っ…!?」



目を見開く飛依斗(ひいと)の視線の先……そこに立つのは、愛莉(あいり)とぶつかった女性であり、自分がメインコンピュータルームに連れ込んだ女性でもあった。その女性を見るなり、一瞬表情が強張る飛依斗(ひいと)



「その()から聞いたわよ…アンタがメインコンピュータ止めたって事!」

「ハ、ハァ!?オレが!?」

「そうよ!全部アンタのせいよ!」

「おいおい待てよ、全部オレのせい?ふざけんなよ、オレは何もしてねぇって。この女がオレを蹴飛ばすから悪いんだろ?」

「わっ、私…!?」

「そ、お前。だからオレはなぁ~んも悪くねぇ」



そう言って、相手をおちょくるように両手を広げて見せる飛依斗(ひいと)



「アンタねぇ…ふざけてんのはどっちよ…自分がどんだけの事したかわかってんの!?」

「わかんねぇなぁ~全然。だってオレは悪くねぇから」

「悪いに決まってんでしょ!アンタが原因なのよ!?」

「だからオレじゃねぇって言ってんだろ?あの女がオレを蹴り飛したから――…」

「アンタが連れ込まなきゃよかっただけでしょ!!」

「何、妬いてんの?」

「このっ…ふざけんな!!」



再び飛依斗(ひいと)に掴みかかろうとした愛莉(あいり)を、大次郎(だいじろう)の腕が止める。



「っかぁ~、野蛮な女性はモテませんよ~?愛莉(あいり)ちゃん。せっかくの美人が台無しだ」

「ッ!!この…っ!」



止める腕を振り払い、飛依斗(ひいと)向かおうとする愛莉(あいり)を、再び制止する大次郎(だいじろう)の腕。両者を引き離すように愛莉(あいり)の身だけを押し返す。そして飛依斗(ひいと)に向き合う大次郎(だいじろう)



「いい加減にしろよ、クソガキ…」

「うるせぇよ、ハゲ。人殺しが今更正義の味方ぶってんじゃねぇよ」

「…ならお前も、これで"人殺し"の仲間入りだな…18万人を殺した殺人鬼野郎」

「オレが18万人を殺した殺人鬼?…ふざけんなよ、母親(ママ)殺しの大次郎(だいじろう)くーん」

「…確かに俺は親を殺した…でも今はその事じゃねぇ…お前がメインコンピュータを落とした事だろ」

「だからオレじゃねぇ。その女がやったんだろ」

「私は違う!あなたがヘンな事するからでしょ!」

「あそこまでついてきておいて、バカみてぇに抵抗する方が悪いんじゃねぇの?…あ、もしかして処女とか?あんなトコで初めては嫌ってか?」

「ちっ、違うわよ!…もう私帰ります!」



っと歩き出そうとした女性の腕を、愛莉(あいり)が掴みとめて強引に自分に向かせる。振り向かされた彼女の頬を平手で1発。



「っ!…何するのよ!?」

「バカな男についてったアンタも同罪よ!!こっちは人の命預かってやってる仕事場よ!部外者が軽々しく入ってくんじゃないわよ!!」



その愛莉(あいり)の言葉に、飛依斗(ひいと)は1人笑い声を上げ、叩かれた頬を押さえる女性に歩み寄る。



「ほぉ~ら部外者。お前がここに来るから悪い」

「ちっ、違う…私じゃない!連れてきたのはあなた!だからあなたが悪い!!」

「は?お前だろ」

「違う!!全部あなたが悪い!!」


「黙れぇッ!!」



始まる口論を切るように、男の怒声が鳴り響いた。突然の声に誰もが動きを止め、ゆっくりと声の主に視線を集めゆく。


その元にいたのは夏輝(なつき)。指の先の色が変わる程に手を机に押しつけ、俯き肩を震わせている。



「彼らを責める前に…メインコンピュータが落ち、その対処が出来なかった僕らにも責任はある……いや…生み出した僕自身に…」



その言葉を聞くや否や、飛依斗(ひいと)はパチン!っと手を叩き、夏輝(なつき)に歩み寄っていく。



「さすが室長!よくおわかりでいらっしゃる。そ、室長、アンタが1番悪い。よくぞ認めた!」



そう言って夏輝(なつき)の頭を、子供を褒めるように「よしよし」と撫でる。そして今度は、その撫でた手で夏輝(なつき)の頭をペシペシ叩き始めた。



「自分らが悪いのに、人様に罪を擦りつけるような部下持つと大変だねぇ~?それにオレ、いきなり殴られたんだよねぇ~アンタの部下に。アンタにも掴みかかられた…『善良な市民に危害を加え、僕が18万人僕が殺しました~』って、警察でも連れてってやろうか?な・つ・き・さ~ん」



夏輝(なつき)の頭を掴み、グラグラと揺らしてみせる飛依斗(ひいと)。その光景に、愛莉(あいり)大次郎(だいじろう)の苛立ちは完全に爆発。抑えられぬ感情が身を震わせ、2人の足が前に出る――…次の瞬間、



「このバカ者がァッ!!」



夏輝(なつき)とも違う、響き渡る怒声が室内の全ての時を止めた。

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