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NOAH -ノア-  作者: 孝乃 (編集中)
第1章『現実世界にて』
6/26

Lood..004 始まる終わり(1)

.


 ビーッ!! ビーッ!! ビーッ!!




 突然の事だった。管理ルーム内に警報音がけたたましく鳴り響いたのは……その警報は、室内のコンピュータそれぞれから響くもの。画面はパトランプのように赤い光りを点滅させ、『Error(エラー)』の文字が連なり右から左へ流れていく。映写された日本の3Dマップも、ノイズが入ったように揺れ始めていた。



「なっ、何だ!?オイ!何が起きた!?」

「俺のコンピュータが操作出来ないぞ!」

「私のもです!」



管理ルームの40人程の社員らは「何事だ!?」と辺りを見渡し、『Error(エラー)』表示のコンピュータを操作しようとキーボードを叩く。しかし全く反応の無いパソコンに、鳴り止まぬ警報。慌ただしいと言うより、もはやパニックという状態だ。


その中、(ひろ)は慌てたように揺らぐ3Dマップに駆け寄った。その瞬間、3Dマップはバチバチッ!!っと音を発て、その国土上に赤く点滅する『Shut(シャット) Down(ダウン)』の文字を浮かび上がらせた。



「シャッ…シャットダウンだって!?」



合わせるように、ドーム状の壁を回っていたゲームプレイ画面もノイズ音を響かせると、バチッ!っとひと際大きな音を発て消える。



「なっ、何だ!?」

「ゲーム画面が消えたぞ!」



マップ上の『Shut(シャット) Down(ダウン)』の文字に、消えたゲーム画面……



「まさかコレ…ゲーム回線が切れたのか…?」



1人の社員の言葉に、ザワつき始める室内。



「嘘だろ……おい!予備電源システムはどうなんだ!?」

「わかりません!反応がありません!」



騒がしい室内。(ひろ)は静かに震える左腕を上げ、己の腕時計を覗き込む。するとそこに、白衣を着た男性社員が駆け寄ってくる。



(ひろ)!お前何ボーっとしてだよ!?システムエラーか調べないと――…」

「時計が消えてる…」

「は?」

「腕時計見て下さいっス…」

「腕時計を…?」



(ひろ)に促され、腕時計を見る男性社員。デジタル時計…その時計が示す時刻は『PM 12:14』。そして時刻表記の下には、『--:--』の横棒線が点滅しているだけ。



「あれ…時間が…」

「消えてるっスよね?…NOAH(ノア)システムから電波を拾い、ゲーム内の時間も表示した社員用の時計…」



(ひろ)の声を聞いた周囲の社員らも、自身の腕時計を次々に確認。その輪は広がり、室内全社員が息を呑む。



「マジかよ、コレ…」

「やっぱりゲーム回線が…」



管理ルーム内全員が動きを止め、想定されるであろう最悪な事態に、ただ呆然となるだけ。その室内に――…



「ちょっと何!?いったい何の騒ぎなのコレ!」



軽いパニックを起こしつつ駆け込んでくるのは愛莉(あいり)



「何か廊下で警報鳴ってるし~!地震!?雷!?火事!?おや――じ……」



災害だとビビった様子で辺りを見渡す愛莉(あいり)が、警報音以外の音の無い管理ルームにキョトン。「どったの?」っと言いながら室内に足を進めた瞬間、マップに浮かぶ『Shut(シャット) Down(ダウン)』に気づく。



「えっ…何よ、アレ…」

「…愛莉(あいり)先輩…」



動揺からか、目線の安定しない(ひろ)の表情に、すぐさま自分の腕時計を確かめる愛莉(あいり)



「時間が…!ちょっと(ひろ)…時間が消えてる……シャットダウン?…ねぇ、何なの?何なのよシャットダウンって!!」

「わかんねぇっス…急に――…」

「『わかんない』って何よ!!わかんないなら調べなさい!!メインコンピュータは!?確認したの!?」

「まだっスよ…」

「ちょっとアンタ!早く行って!!」



っと愛莉(あいり)は近くにいた男性社員の背中を叩く。



「はっ、はい!」

「あなたは予備電源システム!急いで!!」

「わかりました!」



続き指示された白衣姿の女性社員も頷き、慌て駆け出す男性社員と共に管理ルームを後にする。愛莉(あいり)も3Dマップの元へと走り、『Error(エラー)』の画面から動かぬコンピュータのキーを叩く。



「何で動かないのよ…どういう事なの!?」

「おれもわかんねぇんスよ…夏輝(なつき)先輩のNOAH(ノア)の修理しようとしてたら、急にパソコンがイカれたんス」

「システム保護は!?動いてるの!?」

「それが動いてるならパソコン全部がエラーになったり、ゲーム画面が消えるなんて事は無いっス!全部のシステムが一気に落ちない限りは」

「メインを合わせて、別々の回線を使った6つの電源システムが一気に落ちるだなんて事がある訳!?」

「今それが起きてるかもしれないんスよ!」

「何でなの!?」

「おれが知りたいくらいっスよ!」

「…――っあ~もうっ!!」



声を上げ、くしゃくしゃに髪を掻きむしる愛莉(あいり)。ボサボサになった髪をそのままに、動かぬパソコンのキーボードを叩く。



「嘘でしょ…」



呟くように頭を抱え、机に伏せる愛莉(あいり)



「…夏輝(なつき)夏輝(なつき)は!?夏輝(なつき)はどこ!?」

「さっき大次郎(だいじろう)さんと上の食堂に――…」

「連れ戻して!!早く!!」



愛莉(あいり)に指差され、慌て1人の女性社員が頷き走り出す。



(ひろ)…回線は?NOAH(ノア)との回線は繋がってるの…?」

「時計が消えてる以上、正直見込めないっス…」

「時計のエラーじゃない訳…?」

「おれら全員の時計がっスよ?それに調べるにも、コンピュータが稼働しないんで…」

「…最悪…」



再び頭を抱える愛莉(あいり)


すると、ウィンっと自動開閉の扉の音が鳴り、管理ルーム内に入る1つの影が……音に反応し、愛莉(あいり)が顔を上げる。



「なつ――…き…?」



食堂から来るなら――…の出入口には人の姿は無い。気配のするのは全くの逆方向。視線はグルっと回ると、



「何だよさっきから、この『ビービー』ウゼぇ音は…」



ラボの内部に通じる出入口、そこに立つのは飛依斗(ひいと)だった。



「…何でアンタがここにいんのよ…」

「お~愛莉(あいり)ちゃんじゃねぇの。社長ご子息のオレ様を『アンタ』呼ばわりとは、あいかわらず言うじゃねぇの」

「ここは関係者以外立入禁止よ。邪魔だから出て行って」

「おいおい、あいかわらず嫌われてんなぁ~。愛莉(あいり)ちゃんの狙う玉の輿…オレ様なら実現可能だってのになぁ~?」



そう言いながら歩み寄り、愛莉(あいり)の肩に手を廻す。ため息混じりにその手を払う愛莉(あいり)は、再度つくため息と共に飛依斗(ひいと)に向く。



「親のすねかじり。加えて頭の弱い未成年(ガキんちょ)は嫌いなの…大人は忙しいのよ。出て行って」



っと飛依斗(ひいと)を押し退け、目の前のコンピュータに向かう。


去る愛莉(あいり)を目でも追いもせず、飛依斗(ひいと)は「へいへい」っと言ったようにポケットに両手を突っ込み、慌ただしい中をワザと邪魔するようにゆっくりと歩いていく。


すると突然、パソコンより発生していた「ビービー」っとなる警告音がパっと消えた。そして管理ルーム内にウィィィン…っと音が鳴り出し、次々にコンピュータが再起動し始めた。そして次々に点灯し始めるゲーム画面。



「っ!も、戻ったの…?」



戻りゆく景色を見渡す愛莉(あいり)の近くで、突如内線を知らせる電話が鳴る。すぐさま受話器を手にする愛莉(あいり)


すると間髪入れずのタイミングで、外からの扉が開き、管理ルームへ夏輝(なつき)大次郎(だいじろう)が駆け込んできた。



「室長!!」



状況をどこまで把握してるかは不明だが、続く大次郎(だいじろう)と共に険しい表情で室内を進む夏輝(なつき)


するとその姿に進む道をワザと変え、夏輝(なつき)とはち会うように足を進める飛依斗(ひいと)。そして夏輝(なつき)の視線上に乗った所で両手を広げ――…



「おーこれはこれは室長さん。今日はまた素敵なお召し物ですねぇ~」



…――のひと言。さすがに飛依斗(ひいと)の存在に気づいた夏輝(なつき)は、一瞬足を止めそうになるも、その存在を無かったもののように横を走り抜ける。するとすかさず飛依斗(ひいと)夏輝(なつき)の腕を掴み、自分の方を強引に向かせた。



「っ!…何ですか、飛依斗(ひいと)さん…」

「シカトしないで下さいよ、室長さん。オレはひと言お礼が言いたくてねぇ」

「お礼…?」

「感謝してんスよ~室長さん。アンタがNOAH(ノア)を開発してくれたお陰で、女の子のゲット率が上がったんだからさぁ~」



っと、お礼を告げる割りには、あきらかにバカにしているのか?ともとれる表情で夏輝(なつき)を見る。するとその2人の間に大次郎(だいじろう)が割って入り、夏輝(なつき)に「行け」と促す。夏輝(なつき)は頷くと、未だ電話中の愛莉(あいり)の元に走る。


飛依斗(ひいと)は走り去る夏輝(なつき)の背に舌打ちをし、目の前に立ち塞がる大次郎(だいじろう)にはため息。



「礼言ってただけなのに邪魔すんなよ…」

「邪魔はお前の方だろ。ここは関係者以外立入禁止だ」

「ならアンタも立入禁止じゃねぇの?開発チームでもない、警備員風情のアンタも……いや、前科持ちの人殺しって時点で、この会社自体に立入禁止じゃねぇ訳?」

「ッ!!」

「犯罪を犯すなんて、親の顔が見てみたい――…ってダメか。その親を殺っちまったんだけか?」



この飛依斗(ひいと)の言葉に、大次郎(だいじろう)は眉をひそめ、握り締めた拳が振り上がる瞬間――…




 …――バッシィィィンッ!!




「いってぇ!!」



突如響く音と共に、後頭部を押さえて蹲る飛依斗(ひいと)。その後ろから姿を見せるのは、分厚いファイルを手にした愛莉(あいり)だった。どうやらそのファイルで飛依斗(ひいと)の頭に一撃かましたようだ。



「いつまでいんのよクソガキ。さっさと出ていけってーの」



そう飛依斗(ひいと)に言い放ち、大次郎(だいじろう)の元に近づくと、手にしたファイルでその腹を突く。



「手ぇ出すな、バカ」

「………」

「忘れんなって…あの日の『約束』…」

「…悪い…」



小さく息をはき、ファイルを近くの机に投げて夏輝(なつき)に向く愛莉(あいり)



夏輝(なつき)、今報告があったわ。メインコンピュータの電源が切れてたそうよ」

「何だって…!?」

「本体には何かが衝突したような跡もあったみたい。そして残りの5つの予備電源システム。これも全部電源が落ちていたみたい」

「全部…(ひろ)!ユーザーとの回線は!?」

「今やってるっス!」



唇を噛み締め、ものすごい速度でパソコンのキーボードを叩く(ひろ)


『メインコンピュータ』の単語に、飛依斗(ひいと)は未だに痛む頭を擦りながら立ち上がり、夏輝(なつき)らをチラ見。自分に意識が向いていないのを確認すると、物音発てぬように歩き出す。


その中、パンッ!っと音を響かせEnter(エンター)キーを叩く(ひろ)。「きた」っとの声と共に3Dマップを見上げると、『Shut(シャット) Down(ダウン)』の文字は消えた。続くように浮かび上がる、読み込み中を表すプロペラが回転しているアイコン。数秒後にアイコンは違う表示となり――…



「ユーザー数ゼ…ロ…?0だって!?」



驚きに立ち上がる(ひろ)の視線の先。そこにあるのは、ただの日本の3Dマップ。そしてその下に記された『User(ユーザー) Count(カウント) 0』の文字。



「0って…まさか…夏輝(なつき)…?」

「………」



愛莉(あいり)の視線にも夏輝(なつき)は無言のままに『0』の数字を見つめるだけ。


すると(ひろ)とは別のパソコンに向かっていた1人の男性社員が声を上げる。



「室長!滞在数値を見て下さい!」



社員の声に、『滞在数値』と呼ばれる、マップの各県上に浮かぶ数字見る夏輝(なつき)。これはゲーム内の各県に、何人のユーザーが滞在しているかを表示した数値なのだ。その47都道府県。全ての数字は0であったものが、突如ものすごい速度で増えていく。



「こっ…これは…」

「今シャットダウン前の履歴を調べてみた所、履歴だけは確認出来ました」



その数値は10秒としない内に増加は止まり、各県に数値を表した。



「『トーキョウ』8万9327人…『オオサカ』1万6294人……全国合計18万3916人だと…」

「この約18万人のログアウト記録はありません…つまり、ゲーム世界と現実世界の回線はおそらく…」



これ以上は…っと口ごもる男性社員。物言わぬまま、呼吸の荒くなっていく夏輝(なつき)



「なら…なら早く回線を繋ぎ直して、18万人全員をログアウトさせるんだ!!」

「無理っスよ先輩!」

「何が無理なんだ(ひろ)!」

「ログアウトさせるには各個人のIDとパスワードが必要っス。個人情報流失防止。加えてチート対策に敷いたセキュリティは、1ユーザーを解除するだけでも最短で5分。でもそれは、ログインしているユーザーのみが対象…回線が切れた今、このNOAH(ノア)の世界には『ログイン』と認識されたユーザーはいないんスよ!」

「なら履歴から調べるんだ!!」

「そんな事してたら1人に30分以上もかかる!NOAH(ノア)のログインに脳が耐えられるのは72時間!既にその72時間を迎えるかもしれないユーザーだっているかもしれないんスよ…今からやったって18万人全員なんて救えないっスよ!」

「っ…!」

「安全性重視で作ったセキュリティが…完全に仇となった訳っスね…」



(ひろ)の言葉に何も返せず、ただ無言で唇を噛み締める夏輝(なつき)。そして握る拳を己の額に当て身を震わすと、その拳を何度も額に当て、身を折り畳むように机に伏せた。


その姿に、並ぶ愛莉(あいり)もグっと唇を噛み締める。社員達の不安に満ちた視線が、夏輝(なつき)の背に集まる中……愛莉(あいり)の手がゆっくりと上がっていく。そして――…



「ウジウジしてんな…このもやし童貞ーっ!!」



張り上げられた声と共に、夏輝(なつき)の頭をひっぱたく愛莉(あいり)。突然の衝撃に驚き立ち上がる夏輝(なつき)の胸ぐらを掴み上げる愛莉(あいり)は、追撃の頭突きを一発。



「いった!!…なっ、何するんだ愛莉(あいり)!」

「うっさい!!アンタは室長!この開発チームのボス!そんなアンタが情けない背中見せてんじゃねぇよ!!」

「今18万の人間が死んだ…僕らの開発したゲームが殺したんだ!!こんな状況で何を――…」

「終わってない!!」



再び愛莉(あいり)の頭突きが夏輝(なつき)を直撃。



「終わってないのに終わった顔すんな!!諦めんなバカ!」

「………」



しかし何も言い返さずに、怪訝な顔つきで視線を落とす夏輝(なつき)。これには愛莉(あいり)は「もうっ!」っと夏輝(なつき)の体を押し、グルりと社員らを見渡す。



「副室長命令!!全員回線復旧作業開始!!セキュリティ解除に30分?んなもん5分――…10秒とかけんなァ!!」



突然の声に、社員らは一瞬キョトン。すると愛莉(あいり)は近くの机をバァンッ!!っと叩き、更なる怒声。



「ボサっとすんなァ!!1人も死なさず助け出せぇッ!!」

「はっ、はいッ!!」



迫力ある愛莉(あいり)の発破に、室内の社員が一斉に慌てパソコンに向かい走り出す。


すると愛莉(あいり)は再び夏輝(なつき)に向く。



「人の命かかってんのよ…黙ってる場合じゃないでしょ、バカ」

「………」

「アンタのお父さん――…春充(はるみち)おじさんの夢でしょ?…アンタの夢でもあるんだから、こんな状況だからこそ足掻かなきゃ」



そう言って愛莉(あいり)は、頭突きによりズレた夏輝(なつき)の眼鏡を直し、鼻を指で軽く弾く。



「これはアンタだけの夢じゃない。夏輝(なつき)、オージロウ…愛莉(あたし)春充(はるみち)おじさん。4人で『NOAH(ノア)』じゃん?」



っと笑う愛莉(あいり)。だがその笑みには"不安"の文字は隠せていない…でも今できる精一杯の笑みに、ゆっくりと頷く夏輝(なつき)


その光景を遠目に見ていた飛依斗(ひいと)は、「熱いね~」っと呟き、状況を小バカにしたような表情をしながら、管理ルームを後にしようと扉に手をかける。が……



「あれ?開かねぇし…」



NOAH(ノア)開発の関係者を示す、社員証を持たぬ者以外は出入口を開けられないのだ。その事を思い出し、近くを通る女性社員に「ここを開けろ」と言うが、忙しそうに走り抜けていくだけ。辺りを見渡すも、まるで相手にされない状況。ため息と共に近くの椅子に座り、気だるそうに天井をあおぐ。



「ったく…警備員に開けさせた非常口から出りゃよかったぜ…」



だがその非常口も社員証が要る。ならば、っと誰かが外に出るのを待つ事にした飛依斗(ひいと)


愛莉(あいり)と共に回線復旧へと入ろうとしていた夏輝(なつき)の元へ、大次郎(だいじろう)が駆け寄ってきた。



夏輝(なつき)、俺に手伝える事はあるか?」

「ありがとう。なら、今起きてる現状を社長に伝えてきてくれ。『責任は全て僕にある』と」



そう言って、ポケットから首から下げるストラップ付きの社員証を出し、大次郎(だいじろう)に投げ渡す。その社員証をキャッチすると、更に大次郎(だいじろう)の元へ飛んでくるもう1つの社員証。キャッチした社員証を見ると、それは愛莉(あいり)の物。



「アンタのだけじゃ、警備員(ゴリラ)のオージロウが社長(ボス)のトコ行けないかもしんないでしょ?」

愛莉(あいり)…」

「おいコラ女狐。今絶対『ゴリラ』と読む『警備員』にしたろ?」

「ついでに言っといて~クロマニョン。『あたしも責任持つ』って」

「お、おい!」

「俺も『おい』だぞコラ!」

「8:2でよ。もち、8は夏輝(アンタ)だけどね~」

「ハハっ、じゃあ俺は1くらいなら持つぜ?責任」

愛莉(あいり)…オージロウ…」

「あ~ら、知能指数0のゴリラが持てるのかしらね~?人間の責任」

「っんだとコラ!」

「いいから走れー原始人」

「ぐっ…!」



パソコンに向かいながら毒づく愛莉(あいり)の背に苦笑いのオージロウ。すると突然、オージロウは何かを思い出したかのように目を見開いた。



夏輝(なつき)乃愛(のあ)ちゃんもログインしてんじゃねぇのか?」

乃愛(のあ)…?…ッ!!」

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