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軋み

その日の晩真輔とみゆきは一言も会話もせず晩御飯を食べていた。

しかも晩御飯には真輔の嫌いなしいたけ料理が大量に。

「はぁ・・・。」

「どうしたん二人とも?喧嘩でもしたん?」

「雰囲気でわかるやろ?空気読めよ。」

真輔は今にもまたキレそう。

それを察したのか結衣も静かにご飯をほおばった。

この空気感に結衣も耐え切れずそそくさと皿を片付けて

「ごちそーさま。さーてテレビ見よー。」

といって結衣はリビングへと向かった。

食卓には真輔とみゆきの二人きり。

みゆきの焼け酒である発泡酒の缶が4,5本並ぶ。

そこへ・・・

「ただいまー。」

幸弘が帰ってきた。

「あっお帰りなさい。ごはんできてるよ。」

「わかった。とりあえず着替えてくるわ。」

といって二階の自分の部屋部屋へと向かった。

みゆきがキッチンの戻るとすでに真輔の姿はなかった。

真輔はリビングでゲームをしていた。

そこへ着替えた幸弘がやってきて

「おい真輔こっちへ来い。」

「なんだよ。」

幸弘は真輔をキッチンへと連れ出し椅子に座らせた。

「お前今日学校で殴ったらしいな。ちゃんと謝ったんか?」

「おう。それだけならもういいやろ?」

といってその場を立ち去ろうとすると、

「おい待て。まだ話は終わってないぞ。」

と言って服を引っ張り再び椅子に座らせた。

「ほんで帰ってきてから母さんに手だしたんやって?」

「だから?」

「だからとちゃうやろ!お前親に手だすってどういう神経しとんのや!?」

「別に。」

もうこれはダメだと思った幸弘は、

「とにかくこの場でちゃんと謝りなさい。」

「はぁ。ご・・・ごめんなさい。」

みゆきは表情を一つも変えずぼーっとしていた。

真輔は謝るとそそくさとリビングへ戻りゲームを再開していた。

20時になりごはんを食べ終えると幸弘が、

「二人とも宿題やったのか?。」

と問うと結衣が、

「やったよー。」

「そうか。真輔は?」

「や・・・やったよ・・・。」

「そっか。じゃあ二人とも見せてみなさい。」

「えーっ。何で見せなきゃいけないのー。」

結衣が駄々をこねる。

「勝手に見れば?そこにあるから。」

真輔は投げやりに答える。

幸弘はいわれた通り机の上に置いてあった算数のプリントを見ると、ところどころ空欄はあるもののやってはあった。

それを見た幸弘は、

「ここやってないけどどうしたんや?」

「あーぁわからんかったから。教えてや。」

「ちょっとは自分で考えたんか?」

「・・・・。」

「今からやりなさい。」

「めんどっ。」

「いいからやれ!」

少し怒り気味に言うと真輔はいやいややりはじめた。

一方結衣は部屋へ戻り鍵をかけてしまった。

すると父さんが結衣の部屋のドアを"ドンドン"と強く叩くと

「なにー!宿題ならもうやったよー!」

ドアの向こうで結衣が叫んでいる。

「わかった。じゃあ先に風呂に入って早く寝なさい。」

「はーい。」

幸弘は階段を下りてリビングの真輔の宿題を教えることにした。

この事件は松尾家の幸せの歯車をほんの少し狂わせた。

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