なんでそんなに・・・。
今日、私はまた鳩サブレの袋を開けて、サブレ君に会うことができたが、サブレ君は昨日の事があってか、私が話しかけてもなかなか口を聞いてくれなかった。
昨日、私はドライヤーの風をサブレ君にかけすぎたせいで、サブレ君はパサパサ
になってしまった。
気のせいかもしれないが、少し焦げたような気がする。
今思えばタオルか何かで拭けばよかったと思うが・・・気が動転してしまった。
「ごめんなさいー許して。もうドライヤーかけたりしないから。」
「私が怒っているのはそんなことではありません。誰もが私を鳩サブレだと言って、決して本物の鳩だと認めてくれない事です。」
「でも君はどう見ても鳩サブレだしー」
そう言うとサブレ君はまた泣きそうな声を出した。
「・・・本当は分かっています。自分は鳩サブレで、もう鳩ではないことに。でもあきらめきれないんです。」
サブレ君はうつむいた。私はまたサブレ君が泣くのではないかとヒヤヒヤした。
話題を変えようと思った。
「勝手にサブレ君なんて呼んじゃったけど、君の本当の名前は何?なんで袋の中にいるの?」
「・・・あなたこそ名前は何なんです。」
「私?私は木本里香子。高校二年生。みんなからはリカって呼ばれるんだ。だからあなたもリカって呼んでね。」
ますますサブレ君はうつむいた。
「私は名前なんかありません。年齢も覚えてません。だってわたしは鳩なんですから・・・。」
嫌な沈黙が数秒ながれた。
私は先に口を開いた。
「・・・でもさーなんで君はそんなに鳩サブレになりたいの?私にできる事があるなら何でもやるよ。」
「なりたいんじゃありません。戻りたいんです」
「へっ?」
サブレ君は顔をあげた
「私は以前、本当に鳩だったんです。」
次からは(たぶん)サブレ君の過去編です。いったいどんな過去やら・・・・。
この先、内容が少し凄い事になるので承知しておいてください。