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勇気・・・

次の日、私はサブレ君をマリーのケージに入れた。

しばらくして私のもとへサブレ君が帰ってきた。

「どうだった。」

サブレ君の目には涙がにじんでいた。

「駄目でした。」

「え・・・。」

私の手は無意識にドライヤーを握っていた。

サブレ君が話すには、こういう事だった。

 

「こ・・・こんにちは、マリーさん。」

ケージに入った時、勇気をだしてサブレ君はマリーに近づいた。

「こんにちは」

マリーは挨拶した。サブレ君にはとてもそっけなく聞こえた。

「ぼ・・・僕は・・・サブレ・・・・と言います。」

この名前を口にする事にはとても気が引けたそうだ。

マリーはくすりと笑った。

「ずいぶんユニークな名前ね。誰がつけたの?」

「僕の友達ですが。」

サブレ君は自分の顔が真っ赤になるのを感じた。

まずい。なんとか話題を変えなくては。と思ったらしい。

「い・・・今はこんな名前でこんな姿でもちょっと前まですごーくかっこよかったのですよ!色白で飛ぶのが速くて・・。」

「あら?そうなの?」

「ええ。」

サブレ君はせいいっぱい胸をはった。しかし・・・。

「それが?」

「・・・え・・・・」

これ以降、話は続かなかった。


「なんて話せばよかったのでしょう。」

「うーん今はこんな姿だからねえ・・・。」

私達は首を傾げた。


一時間ほど過ぎた。

「・・・自分の過去の話じゃなくてさ、マリーちゃんが好きで仲良くなりたい事を伝えればいいんじゃないの?」

「ええ・・。でもこんな容姿じゃあ、なんか取り柄が他にないと振り向いてくれないですよ。」

「そう卑屈になってたら何も始まらないよ。私達だってこうして仲良くなれたじゃない。サブレ君の容姿は私、もう気にならないよ。」

サブレ君は顔を上げた。

「そうですか?」

「うん。だからもしかしたらマリーちゃんはサブレ君の過去じゃなくて気持ちを知ったら仲良くしてくれるかもしれないよ。」

「だといいですが・・・。」

  

   
















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