ヘララガラース・・・?
結局、私が二時間かけてサブレ君を説得し、サブレ君はようやく
「わかりました。話かけてみます。」
と言ってくれた。
「よ!それでこそ男だ!」
と私が言うと
「しかし・・・その前にすることがあります。自分の名を名乗るときなんて答えましょうか。まさかサブレ君じゃあ・・・。」
「そういえばサブレ君の本名って何ていうの?それ言えばいいじゃん。」
「いや、鳩の世界には特に決められた名前というのはつけないのです。つけられるのは飼われている鳩くらいです。」
「じゃあなんて名前がいいかな。サブ君とか・・」
「それじゃただ略しただけではないですか。」
「じゃあ・・・。ポッポー君とか・・・。」
「ずいぶんダサイ名前ですね・・・。マリーさんとは釣り合いません。もっとかっこいい名前・・・。」
「じゃあどうしよう。」
かっこいい名前なんて思いつかない。
「じゃあ自分で考えます。私は色白で飛ぶときとてもすばやかったから・・・・・・それに…たまの喧嘩でも負けなかったのです。そしてとても頭がよかった・・・。よし、じゃあ・・・」
「じゃあ?」
私は身を乗り出した。
「人間世界の伝説の英雄と言われる・・・ヘラクレス!とか?」
私はたちまち引いた。
いくらなんでも・・それはかっこつけすぎないか?仮にもすぐ引きこもる鳩だよ?
「いや・・・。それは・・。」
「それは?」
「なんかサブレ君のイメージに合わない。」
サブレ君は口をとがらせ(てるように見えた)、
「あなたは私の本当の姿をまだ見てないからそんなこと言うのですよ。ぴったりですよ!本当の私は強くて美しい鳩なのです。」
私はため息をついた。
「ああ・・。そう・・・。」
次の日・・・。
「サブレ君!」
「サブレ君じゃなくて?」。
「ああ・・・そうだったね・・・ん・・・ヘラクさん・・・。」
サブレ君は脱力した声で
「違います、ヘラクレスです・・・。」
と言った。
「ああ・・そうだね。」
その次の日・・・。
「へララクレス君。」
「ヘララクレスって何ですか。」
サブレ君はぴしっと言った。私はビクッとした。
「ヘララカラス?」
「何で私がカラスなんですか!」
「ヘララガラ―ス?」
「ヘラクレスです!わざとやってるんですか。あなたは・・・!」
サブレ君は怒りでぶるぶる震えていた。
私の目に涙がにじんだ。
「ご・・・ごめん。なんか覚えられなかった。」
「もういいです。サブレ君でいいです。」
サブレ君は顔をそらした。
諸事情により長く更新できませんでした。すみません。これからも細々とでも更新していきたいです。