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2045年のラブレター

作者: 星野☆明美
掲載日:2026/03/27

夜。恵子はノートパソコンのメールをチェックしていた。


件名:恵子さま、昼間の件で

今日はほんとにごめん。20年の付き合いだからって油断した。

いつも君は僕のことを見てるって自惚れてた。

大学で僕が消しゴムを試験中に落としてしまって、その時君が監督官に挙手して、消しゴムを拾ってくれてから、僕は君を意識し出した。今でも忘れちゃいない。

ほんとに君の事が大好きなんだよ。不甲斐ない僕を許しておくれ。

圭一より。



何これ?一向に思い当たらない内容のメール。でも名指し。ちょっと気味悪くて恵子はそのメールを迷惑メールに割り振った。


数日後、期末テストが始まった。

憂鬱な数日間。ここを乗り切れば夏休みがやって来る!


「あっ!」

試験中、後ろの席から声がして、ころころと消しゴムが転がってきた。恵子は数日前のメールに既視感を覚えながら、挙手して試験官に伝えた。

試験会場から出るときに、1人の青年が恵子に追いついてお礼を行った。

かっこいい。

恵子はドキドキした。

「僕は圭一っていいます。よかったらお礼させてください」

「は、はい」

もちろんです、と心で思った。

その日、夕食は喫茶店で圭一のおごりだった。

「恵子ちゃんは夏休みの予定決まってるの?」

「いいえ」

「じゃあ、一緒に海に行かない?」

「行きたい。でもカナヅチなの」

「じゃあ、海岸散策しようか」

「はい」

いい雰囲気だった。


帰宅してからノートパソコンを開き、あのメールをメインに移動した。

メールの日付が20年後の2045年になっている!

不思議なことだ。



海に行った。風が心地よく、カモメが飛んでいた。ピンクの貝殻を拾い、きゃあきゃあ言いながらデートした。

デート!そう、それはたしかにデートだった。

「恵子ちゃん」

圭一が耳元で囁いた。

「圭一くん」

一瞬、唇と唇が触れそうになった。

「いや!」

どん、と恵子は圭一を突き飛ばした。

「なんだよ、そっちだってその気だっただろう!」

「展開が早すぎる!」

「……帰ろうか?」

その日はしょんぼりして帰った。


「また未来からメール来てる!」


件名:あのときみたいだね

恵子。いつも君の気持ちを考えないで先走ってごめん。

今日もそうだったから、そろそろ愛想尽かされるんじゃないかってヒヤヒヤしてるよ。

ほんとにいつもごめんな。

圭一


恵子は居てもいられず、電話をかけて仲直りした。


「未来からメールでラブレターが届くって?!」

圭一がびっくりして恵子のノートパソコンを見た。

「どう思う?」

「別に、いいんじゃない?」

「えー?」

「本物はどうかこれからわかっていくんだろ?楽しみじゃないか」

「もう」

2人は仲睦まじく微笑んだ。

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