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第1章 再開
「ねぇ、殺すならさっさと殺してよ」
冷たい金属の床で、吐き捨てるように彼女は呟いた。時の流れも感じない、静かな空間。愛しいその小さな声は、反響し溶けていく。
「私がキミを殺すわけがないだろう。……そんな悲しいことを、言わないでくれ」
鉄格子――否、鳥籠の中で座る彼女の眼に忌々しい己の姿が映った。黒い髪、黒い服。青く猫のように長い黒の瞳孔……そして、頭からは龍の角が生えている。悍ましいこの姿は人々から恐れられ、いつしか私は邪神と呼ばれるようになった。
それでも、彼女だけは私に声をかけてくれた。私の目を見て、話してくれた愛しい愛しい人の子。
私は、もう一度彼女の笑顔が見たい。どうしたら、仲良くなれるのだろうか。
分からない。ただ彼女が今こうして私を睨むのは、心が痛む。けれど、彼女はここから出られない。これからは、時間をかけてゆっくりと私のことを知って貰えばいいんだ。そうすればきっと、あの頃のように笑いかけてくれるはず。
キミはそんな子じゃない。私を睨むなんて、悪い子だ。だが大丈夫、私が彼女を。あの人間共に毒された彼女を正してあげよう。
──あぁ、早く治してあげないと。あの頃の、キミに戻れるように。




