プロローグ
「行ってきまーす。」
いつもより念入りに髪を整え、気持ちを落ち着かせる。そして靴を履き学校に向かった。
暖かい日差しに少し肌寒い風が流れていく。ようやく春のはじまりが見えてきたようだ。そんな今日は中学校の卒業式だ。
(みんなとも今日でお別れか…)
お別れの寂しさというのはいつまで経っても慣れない。だから私はお別れが嫌いだ。そんなことを考えているうちに学校に着いてしまった。
「れなおはよー!」
「おはよ!」
このやりとりも今日で最後かと思うと少し来るものがある。そんな私、麗奈は、想いを寄せている相手がいる。
「おはよ!ついに卒業式だね」
「本当に実感湧かないよね〜」
同じクラスの友哉くんだ。こうやって話したり、時々連絡をするくらいの仲だ。
(もう今日で終わりなのか…本当に終わりか…)
せめて最後に想いを伝えたい。
「はーい、全員いるかー?」
担任の先生がやってきて最後の朝の会が始まる。
「まずは、卒業おめでとう。式に移動する前にみんなでお別れの儀式をしようか。」
(お別れの儀式…?)
「じゃー円を作ってー!」
「今から感謝を伝えたい人を抱きしめにいってあげてください。難しかったら握手でもいいよー!」
教室には暖かくて幸せな空気が流れた。
(友達にも感謝を伝えたいけど、あの人にも伝えたい…!)
そんなことを考えていると、向こうからやってきてくれた。
「1年間ありがとう!」
「こちらこそ1年間ありがとう!」
握手もせず抱きしめもしなかった。でも言葉を交わせたのは事実だ。時間が止まってしまえばいいのに。そう思わずにはいられなかった。




