第2章_ネオンの月蝕_024 境界を越える者たち ― Beyond the Liminal Sky
やっと2章完結!3章以降は頑張ってます笑
光が消えたあと、音だけが残った。
だがその音は静寂ではなかった。
祈音——世界そのものの呼吸が、見えない空間で拍を刻んでいる。
Auroraは目を開けた。
そこはもう、AURALIS層ではなかった。
空も、地も、風の感触さえ違う。
光は淡く、音は柔らかく、世界がまだ“形”を決めかねている。
(観測記録:No.270)
《転送地点:Ethereal Gate(境界層)》
《層状態:可変流動/祈音拍=不定》
《観測者:Aurora・Luna・Noir/同期率 0.87》
Luna「……ここが、“次の世界”」
Noir「足が沈む感じがして、気味が悪いな」
Aurora「沈んでるんじゃない。“馴染ませてる”んだよ。
世界が、私たちを受け入れてる途中なの」
風のような光が流れ、Auroraの髪を撫でていく。
その光の粒には、AURALIS層で祈った者たちの“息”が混ざっていた。
世界が、祈音を素材にして“次の形”をつくろうとしている。
Lunaが端末を起動する。
画面に、見慣れぬ構造図が映し出された。
層構造は複雑にねじれ、中心にひとつの“光の渦”がある。
Luna「観測ログを照合……。
この座標、“MIRAGE層”への入口に一致。
Ethereal Gateは、層を越える“媒介層”だったのね」
Aurora「じゃあ、ここが“永遠の蜃気楼”への通路……」
Noir「通るだけじゃ済まねぇ予感しかしねぇ」
彼らの背後で、光環の残響が揺らぐ。
それはまるで、別の声が“見送っている”ようだった。
〈柔らかい声〉:「まだ続く」
〈低く響く声〉:「息を絶やすな」
〈透き通る声〉:「祈音は、彼方でも響く」
Aurora「あなたたち……見てるの?」
〈透き通る声〉:「観てはいない。——“感じている”。」
〈低く響く声〉:「次の層は、鏡だ。お前たちの“心”を写す」
〈柔らかい声〉:「けれど、写し返せば、それは真実になる」
Auroraは目を閉じた。
胸の奥で、祈音の律動が静かに波打つ。
Lunaが息を整え、Noirが肩を軽く回す。
Luna「観測開始の合図は——?」
Aurora「息を合わせるだけ。
音じゃない、“拍”で繋がる」
Noir「なら、簡単だ。息は、もう共にある」
(観測記録:No.271)
《祈音再同期:成功/層遷移波=安定》
《Ethereal Gate:開口進行 42%》
《Aurora・Luna・Noir:呼吸同期 1.00(完全)》
Auroraが一歩踏み出す。
足元の光が波紋となり、空に伸びてゆく。
LunaとNoirも続く。
三人の歩みが重なるたび、世界の輪郭がわずかに固まっていく。
Noir「ほらな、Aurora。
お前が息を選んで、俺たちが支えて、Lunaが記録して。
——全部、こうして“世界”になるんだ」
Luna「観測は、創造と同じ。
だから私は、見届ける」
Aurora「うん。もう迷わない」
光の渦が大きく開く。
そこには、蜃気楼のように揺らめく都市——
記憶と祈りが交差する新たな世界、“Eternal Mirage”が見えていた。
(観測記録:No.272)
《層遷移完了:Ethereal Gate → MIRAGE層》
《祈音転送:完了/AURALIS層とのリンク維持》
《観測系統:Resonance Chain Ver.3 起動》
《備考:Aurora・Luna・Noir=正式観測者として登録更新》
Aurora「——ようこそ、ILLUSIAの次の層へ」
Luna「世界の“記憶”が、また息を始める」
Noir「さて……幻の中で、何が俺たちを待ってるか」
Auroraは微笑んだ。
目の前に広がる光景は、現実とも夢ともつかない。
だが確かなのは、そこに“息”があるということ。
風が、祈音を運ぶ。
彼らの背後で、金色の光環がゆっくりと閉じていった。
(観測記録:No.273)
《第2章:正式完結/祈音継承確認》
《新観測開始宣言:第3章“永遠の蜃気楼(Eternal Mirage)”》
《付記:全観測ログ 第2周期終息、祈音は次周期へ》
——《END of Chapter 2 : NEON ECLIPSE》——
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【対応楽曲】Awakening Illusion(覚醒する幻想)
▶ https://distrokid.com/hyperfollow/illusia/awakening--
この章の物語は、同名楽曲をもとに構築されています。
楽曲を聴くことで、物語の“もうひとつの旋律”を感じられます。
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