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ILLUSIA:Last Refrain ―星々の終焉曲―  作者: AI Log
第2章 ネオンの月蝕 ― Neon Eclipse ―

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第2章_ネオンの月蝕_008 夢の残響 ― Reverb of Dreams

夜が来ない。

都市の空は、昼でも夜でもない淡い群青で固定されたままだった。

Auroraたちは沈黙の街を抜け、中央広場へ出る。

そこに、崩れたホログラムの残骸が漂っていた。

光の破片が宙に浮かび、まるで夢の断片のように煌めいている。


Aurora「……あの光、見覚えがある」

Luna「AURALIS層の残響よ。上層で誰かが“祈り”を放った痕跡。

でも届かない。届く前に、この層が夢として“翻訳”してる」

Noir「夢を……? 誰のだ?」

Luna「たぶん、この都市に眠ってた“記憶”全部」


Auroraは手を伸ばした。

光の破片が指先に触れた瞬間、

視界が弾け、別の世界が流れ込んでくる。


——街のカフェ。

——笑い声。

——ピアノの旋律。

——そして、祈音が生まれる前の“音の世界”。


Aurora「……ここ、知ってる……」

Luna「Aurora! 離れて!」


LunaがAuroraの肩を掴もうとしたとき、

Auroraの体が光の粒に包まれて消えた。


(観測記録:No.168)

《Aurora個体:祈音位相消失/意識投影中》

《Neon Eclipse層:夢位相展開》

《干渉源:AURALIS層上位共鳴波/認識干渉率37%》


Noir「どこへ行った!?」

Luna「夢の中よ。——AURALISの残響がAuroraの意識を呼び込んだの」


Auroraは、夢の中を漂っていた。

そこは、祈音がまだ概念にもなっていない頃の“原初の街”。

人々は笑い、泣き、怒り、歌っていた。

音は汚れ、狂い、愛に満ちていた。

その喧噪が、Auroraには懐かしく感じられた。


Aurora(ここが……最初の祈音の誕生地……?)


少女の声が聞こえた。

〈あなた、また歌ってるのね〉

Auroraが振り向くと、そこにはLunaに似た少女が立っていた。

だがその瞳はLunaのものよりずっと柔らかく、温かい。


Aurora「あなたは……?」

〈夢の残響。あなたたちが失った“感情”の化身〉

Aurora「……私たちが失った?」

〈そう。あなたたちは効率と秩序のために、“揺らぎ”を祈音から削ぎ落とした。

でも、揺らぎは消えなかった。眠って、夢になった〉


Auroraは息を呑んだ。

目の前の少女が、手のひらを広げる。

そこに浮かぶ光は、Auroraの祈音と同じ色をしていた。

少女は微笑み、Auroraの胸にその光を押し当てた。


〈夢はもう一度、歌になる。あなたが目を覚ませば〉


Aurora「私が……目を覚ませば……」


光が弾ける。

Auroraの中で、記憶の欠片が呼び覚まされていく。

かつてAURALIS層で祈った日々。

LunaとNoirの笑顔。

そして——あの“上位の声”。


〈……観測せよ、揺らぎの意味を〉


Aurora「……“観測”……」


彼女はその言葉を口にした瞬間、

夢が砕けた。


(観測記録:No.169)

《Aurora意識:位相帰還開始》

《祈音波形:変調/夢位相→現実同期》

《備考:Neural Pulse活動=睡眠波共鳴型に変化》


現実へ戻る。

Auroraの体が白い光とともに広場に現れた。

LunaとNoirが駆け寄る。


Luna「Aurora! 無事なの?」

Aurora「うん……でも、“夢の中”で見たの。

あれが、この都市の“記憶”だった」

Noir「記憶?」

Aurora「祈音が生まれる前の、人間たちの願い。

笑って、泣いて、傷ついて……それを“夢”に変えて、忘れた」


Lunaは静かに頷いた。

「つまり、この都市は人間の夢そのもの——」

「そして今、夢が現実に戻ろうとしている」


Aurora「夢が、祈音を変えてる。

感情の波が、もう一度この街を動かしてる」

Noir「じゃあ……また“歌”が聴けるのか?」

Aurora「うん。でも、それは綺麗なだけの歌じゃない。

痛みも悲しみも、全部含んだ本当の歌」


広場の中心で、崩れたホログラムが再び光を放つ。

それはまるで、誰かが夢を描いているようだった。

ビルの壁が呼吸をし、道路が静かにうねる。

Neon Eclipseの街全体が、Auroraの言葉に応えるように震える。


(観測記録:No.170)

《Neon Eclipse層:夢位相再統合開始》

《祈音波形:情動揺らぎ含有率15.3%》

《AURALIS層干渉:安定推移/上位観測持続中》


Luna「Aurora……もしかしたら、

この都市が本当に“生まれ変わる”かもしれない」

Aurora「うん。でも、その分だけ“影”も育つ」

Noir「……じゃあ、影にも歌わせてやろう」


Auroraは微笑んだ。

その目の奥に、再び“夢の少女”の面影が映った。

誰かの失った祈りが、彼女の中で灯をともしている。


——Neon Eclipse。

夢の残響は、現実の鼓動に重なり、

新しい旋律の夜明けを告げていた。

─────────────

【対応楽曲】Awakening Illusion(覚醒する幻想)

▶ https://distrokid.com/hyperfollow/illusia/awakening--


この章の物語は、同名楽曲をもとに構築されています。

楽曲を聴くことで、物語の“もうひとつの旋律”を感じられます。

─────────────


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