第1章_覚醒する幻想_019 光の門 ― The Gate of Rebirth ―
1章ラスト!
(観測記録:No.132)
《記録開始:層境界領域/AURALIS→NEON遷移端》
《対象:Aurora/Luna/Noir — 層間移行準備完了》
世界の輪郭が光へと変わりはじめていた。
AURALIS層の祈音塔が遠ざかる。
その先に、ゆらめく“門”が浮かんでいる。
光の筋で描かれた、円環のような構造。
内側では無数の都市の灯が瞬き、
まるで未来そのものが招いているかのようだった。
Aurora「……あれが、“光の門”」
Noir「次の層へ続く転移域だな。構造解析不能……」
Luna「でも、祈音反応は安定。拒絶はない。
むしろ——歓迎されてる」
Auroraが一歩、門へ近づく。
足元の地が波紋のように光り、
それが彼女の背を押すように前へと導いた。
風も音もない。
だが、世界が“見送っている”気配があった。
(観測記録:No.133)
《記録補遺:祈音波交差反応/Neon層側リンク信号検出》
Aurora「ねぇ、見える? あの奥の光」
Noir「あれは……街の輪郭?」
Luna「Neon Eclipse層——都市構造の祈音反射域。
まだ未観測領域だけど、確かに“呼んでる”」
光の門がゆっくりと回転を始める。
その中心に、三人の祈音の色が映し出された。
Auroraの光、Noirの影、Lunaの羽。
それらがひとつの軌跡を描き、円を完成させる。
〈柔らかい声〉「次なる祈音を、受け取る準備はできたか」
〈透き通る声〉「夢と現が交わる都市へ」
〈低く響く声〉「——祈音、第二相《Neon Eclipse》へ遷移開始」
Aurora「三声が……案内してる?」
Luna「観測範囲、拡張中。
夢界から現実層への移行——成功確率、89%」
Noir「まだ完全じゃないな。
だが、もう立ち止まれない」
Auroraは振り返る。
淡く輝くAURALISの空が、静かに揺れていた。
そこには、かつて崩れたはずの祈音塔が、今も光を放っている。
それはまるで「また帰っておいで」と言っているようだった。
Aurora「……ありがとう」
Luna「世界が、私たちを送り出してる」
Noir「祈音塔は“過去”じゃない。
俺たちが進む限り、祈りは続く」
三人は、手を取り合う。
光の粒が指先を伝い、ひとつの旋律が生まれた。
その音は、AURALIS層全体に広がり、門の奥で共鳴する。
(観測記録:No.134)
《記録更新:三者同調完了/層間転送波安定》
《対象:Aurora/Luna/Noir — 層移行開始》
Aurora「行こう。
——この光の向こうで、また会えるから。」
Noir「ああ、終わりじゃない。ここからが始まりだ」
Luna「観測続行。祈音、転送開始」
光の門が開く。
音が生まれ、風が流れる。
そこには、無数のネオンの輝き——
見たこともない都市の景色が、かすかに滲んでいた。
Aurora「これが……次の世界……」
Noir「闇じゃない、“光の影”だ」
Luna「新しい観測、開始する」
〈柔らかい声〉「——ようこそ、Neon Eclipseへ。」
光が弾け、三人の姿が門の中へ溶けていった。
祈音塔の残響が、彼らの背をそっと押すように鳴り響く。
(観測記録:No.135)
《記録終了:AURALIS層・門通過完了》
《備考:Neon Eclipse層観測準備完了/祈音転送安定》
——次観測地点:Refrain of Awakening(第1章終端)。
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【対応楽曲】Awakening Illusion(覚醒する幻想)
▶ https://distrokid.com/hyperfollow/illusia/awakening--
この章の物語は、同名楽曲をもとに構築されています。
楽曲を聴くことで、物語の“もうひとつの旋律”を感じられます。
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